マンションの管理組合でよくあるトラブルとは?その解決法も解説

マンションは、住んでいる方々の価値観や年代、家族構成などが異なっているケースが一般的です。

大勢の共同生活の場であるため、どんなに厳しいルール(管理規約)を定めても生活マナーやペット飼育関連などのトラブルを、完全に防ぐことはできません。

ささいなトラブルがきっかけでマンションの生活環境を悪化させることも、少なくないでしょう。

まずはマンションでよく起こるトラブルの傾向を知り、予防につなげていくことが大事になってきます。

今回はマンションで起こりがちなトラブルを紹介します。予防を含めた解決方法についてもしっかり触れていくため、既に問題が起きているマンション管理者の方もぜひ参考にしてみてください。

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マンションで良く起こるトラブルとは?

国土交通省が5年ごとに実施しているマンション総合調査結果(平成30年度)によると、1,688件の回答のうち、約70%が「直近1年の間に何らかのトラブルが発生している」と回答しています。

なかでも「生活音」「違法駐車」「水漏れ」「ペット飼育」「共用廊下への私物放置」に関して多く発生しているようです。

特に「生活音」については38%の方が「あり」と回答しており、最多となっています。

参考:平成30年度マンション総合調査結果

騒音の原因になりやすいものとその対処法

騒音問題を解決するには、どのような方法があると思いますか?

被害を訴えている住民が直接、騒音の原因である居住者へ苦情を言いに行くのはおすすめできません。

感情的になり、関係が悪化してしまうケースがあるためです。

また、被害者側が過敏になり過ぎて認識のズレが生じているケースもあります。

そのため、騒音問題については、管理組合が間に入って対応を行うのが一般的なのです。

かといって「『うるさい』という苦情がありまして」などと直接的な言葉を伝えるわけにもいきません。

次の章では、よく事例としてありがちな騒音の原因別に、騒音元への伝達事項をまとめています。

生活音に関するトラブル

騒音の原因としてよく挙げられるのは生活音に関するものです。

生活音と一言でいってもさまざまですが、具体的にどのような音が居住者どうしの問題を引き起こすのでしょうか?

家電製品

テレビや洗濯機、掃除機などが騒音の発生源になっている場合は、音の大きさもさることながら、時間帯も問題点として挙げられる場合があります。

比較的周囲の行動が活発な昼間に掃除機をかける場合と、みんなが寝静まった夜中に掃除機や洗濯機を使うのとでは事情が変わってくるでしょう。

この種のトラブルが多い場合、予防として「洗濯機や掃除機は、朝9時~夜20時のみ使用」など、管理規約や使用細則で時間帯を定めて伝えてみてはいかがでしょうか。

その他の対応として

  • 洗濯機は壁から離す
  • 防振マットを敷く

などが挙げられます。

テレビや音楽鑑賞に関しては、周囲の状況を考えて音量を下げたり、イヤホンなどを使用したりして自分以外に音が聞こえないような工夫を促すのも手です。

子ども

小さいお子さまや赤ん坊がいるご家庭では、泣き声や走り回る音といった騒音も出やすくなります。

言葉が通じるくらいの年齢の子どもの場合は

  • 床にマット類を敷く
  • 壁際に背の高い本棚などを置く
  • 防音や遮音カーテンを使用する
  • 室内ではなるべく静かに過ごす

などの対策が考えられます。

赤ん坊が泣き出したら窓を閉め、換気扇も消すなどの対策がありますが、夜泣きなどは防ぎ用がありません。

赤ん坊の夜泣きなどは周囲の理解が必要な部分も少なからずあります。

少しでも住民間の不和を和らいでおくため、積極的にご近所づきあいができる場を設けるというのも対策の一つです。

ペット

ペットに関しては無駄吠えや、深夜・早朝の吠え声などを原因に、トラブルが起こりやすいです。

予防としてはまず、ペットの種類や共用部分での扱いなどを管理規約や使用細則で詳細に決め、守ってもらえるよう周知させる必要があります。

また、床にコルクマットなどを活用すること、無駄吠えなどに対するしつけの徹底などをアナウンスしておきましょう。

フローリング床

フローリング床はカーペットなど、なにかを敷いている場合に比べて音が外に漏れやすいため、往々にして騒音の原因となります。

  • 遮音性の高いカーペットを敷く
  • 家具にクッションシールを取り付ける

などの工夫を居住者に伝達しましょう。

また、フローリングについては使用細則で一定の遮音性能を有したものを使用するよう定めることも可能です。

既に定めている場合、その通りのものを使用しているかどうか確認してみるとよいでしょう。

関連記事:マンションの自主管理とは?やるべきこととメリット・デメリットについて

違法駐車に関するトラブル

多くのマンションで問題となっている敷地内への無断駐車。

実は私有地の問題であるため、基本的に警察は対応してくれません。

そのため、管理組合にとって解決が難しい問題のひとつといえるでしょう。

ここではマンションの敷地内における無断駐車に対する予防と、その解決策について紹介します。

「違法駐車」されても警察は動いてくれない

マンションの敷地内において駐車場ではない場所へ管理組合に無断で駐車されてしまうケースがあります。

定められた駐車場の区域外に駐車されると、人や車問わず通行の邪魔となったり、道路の見通しが悪化して人身事故の危険性が高まってしまったりします。

また、夜間にはヘッドライトや騒音による迷惑も生じるかもしれません。

しかし、マンションの敷地内は私有地なので、公道での駐車違反とは事情が異なります。

公道であれば違法駐車の車両を警察が道路交通法違反・駐車違反として取り締まることができます。

一方、マンションの無断駐車については私有地であるため、原則的に警察が介入することはできないのです。

マンション内の無断駐車を警察に通報しても、積極的に解決してくれるわけではありません。

こういった背景もあり、無断駐車はマンション管理のトラブルの中でも対応がとても難しい問題とされています。

違法駐車の防止・予防対策とは

マンション敷地内の無断駐車の防止・予防対策としては以下のものが有効です。

  • 駐車されやすい場所には、コーンや駐車禁止の看板を立てる
  • 駐車禁止などの張り紙やラミネートを作成して設置する
  • 張り紙に「無断駐車には罰金●万円」など、具体的な金額を記載する
  • 無断駐車がおこなわれる場所に監視カメラ(ダミー可)を設置する
  • 悪質な場合には車両を写真におさめ、掲示板に貼付する
  • 駐車場には駐車を許可されている車両のナンバーを記載する
  • 手続きを踏んだ来客用駐車場の使用者には、駐車許可証を発行する

なお、無断駐車車両のワイパーとフロントガラスの間に警告文を挟むぐらいであれば問題にはなりません。

しかし、違法駐車車両に警告文をテープで貼ったり、のり付けしたりするのはやめましょう。車両に汚れや傷をつけたりしてしまうと、逆に器物損壊で訴えられる恐れがあります。

また、所有者に無断で民間のレッカー業者に依頼して移動すると、車の持ち主と管理組合との間でトラブルになりかねません。

無断駐車の車両の所有者が外部の方や、特定できない場合には対応が困難です。

かといって泣き寝入りはしたくないと思う方がほとんどでしょう。無断駐車された日時や写真等の記録をとっておくと、仮に法的措置に移行した場合には重要な証拠となるため、定期的に巡回することをおすすめします。

確信犯による犯行も

特定の人物が長期的に「マンションの敷地内であれば駐車違反として警察に検挙されない」ということを知ったうえで確信犯的におこなう場合もあります。

こうした確信犯を防ぐ方法は、物理的に駐車できないようにするしかありません。

また、マンション全体が無断駐車に関心をもつことが最も有効な防止策になります。

知らない車両が駐車してあった場合には積極的に挨拶をするなど、コミュニティ全体が無断駐車に対して関心をもつよう各々が心がけ、管理組合側からそういった声明を出すとよいでしょう。

水漏れに関するトラブル

水漏れトラブルの発生状況については、ある特徴があります。

「マンションが古ければ古いほど発生している」という点です。

国が行ったマンション総合調査の全体として、約19%が「水漏れのトラブルがある」と回答しています。

しかし、昭和49年以前に建築されたマンションに限ると、およそ50%以上のマンションが「ある」と回答しているのです。

マンションの水漏れ事故は意外と多く発生しており、決して他人ごとではありません。

戸建ての場合、水回りは1階に集中しているうえに自分たち以外は住んでいないため、水漏れ事故が起きても被害は小さくて済みます。

しかし、集合住宅であるマンションはそうもいきません。水漏れの規模によっては階下にまで被害が及び、被害額が大きくなるおそれがあります。

万が一の事態を避けるためにも、マンションの水漏れ事故には十分注意しておかなければならないのです。

水漏れの原因とは?

マンションで水漏れ事故が起きてしまう原因は、主に2つあります。

  1. 住人の故意や過失によって起きてしまう人為的な問題
  2. 配管の故障や老朽化などで起きる設備的な問題

原因によってその後の責任の取り方や対処が変わってきます。

実際に水漏れ事故が起きたときに正しく対処できるよう、まずはどんな原因があるのかを知っておきましょう。

なお、築年数が経過しているほど発生頻度が高いという先述の内容に関しては、築年数が経過すればするほど劣化を伴うということもあり、主に設備的な要因が大きいといえるでしょう。

関連記事:老朽化マンション問題とは?あなたのマンションもいずれ迎える老朽化。今のうちにできることとは?

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入居者が原因の場合

マンションの水漏れ事故の原因のひとつが「入居者の不注意」によるものです。

たとえば、お風呂をためようとして蛇口をひねったものの、失念して長時間お湯を出しっぱなしにしてしまうケースが挙げられます。

排水が追い付かず、洗面所にまでお湯があふれて水浸しになった経験のある人もいるのではないでしょうか。

ほかにも、洗濯機のホースが配水管から外れて水がすべて流れ出てきてしまったり、ベランダの排水口に大量の水を流すのも、水漏れ事故の原因となります。

また、掃除をしようとして水を流したものの、防水処理されていなかったために水漏れすることもあります。

玄関やトイレなど、一見水洗いできそうなところも防水処理されているとは限らないため注意しましょう。

トイレにトイレットペーパー以外のものを流したり、台所の排水口に大量の油を流したりすると排水管が詰まる原因となり、水漏れにつながります。

いずれも入居者の不適切な使い方が原因となるため、十分に注意しなければなりません。

建物や設備に問題がある場合

水漏れ事故は、入居者の不注意だけで起きるわけではありません。

設備や建物自体の老朽化や故障などにより、水漏れしてしまうケースもあります。

たとえば、排水管の老朽化によるひび割れや接続不良が起きると、そこから水が漏れてしまいます。

また、外壁に生じたわずかなひび割れから、雨水が侵入して雨漏りを引き起こすことも…。

設備や建物は日を追うごとに劣化していくため、築年数が経過した物件ほど水漏れ事故が起こる可能性が高まる傾向にあります。

気をつけておきましょう。

注意点

厄介なのが「建物や設備の問題はなかなか目につきにくい」という点です。

壁の中を通っている配管などにトラブルが生じると、水漏れの箇所や状態を確認するのが難しくなります。

事故の発生そのものに気づきにくいですし、水漏れしている場所によってはすぐに補修作業が行えず、被害が広がってしまうおそれもあるのです。

このような建物や設備の問題による水漏れ事故は、必ずしも築年数の古い物件だけで起きるとは限りません。

築浅の物件であっても、建築時の接続不良や人為的なミスなどにより水漏れしてしまう可能性は十分にあります。

築浅物件だからと油断せず、水漏れの症状を発見したらすぐに分譲会社のアフターサポート窓口へ連絡するようにしましょう。

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水漏れ事故の責任は誰が取るべきなのか?

水漏れ事故が起きた場合、誰に責任が生じるのでしょうか?

水漏れによって家具や建物に何らかの被害が生じてしまえば、当然加害者が被害者に損害賠償しなければなりません。
被害の規模によっては高額の損害賠償金が発生するため、誰が責任を取るのか正しく理解しておきましょう。

建築工事に問題があった場合

建築工事に問題があったことで起きた水漏れは、原則として分譲業者や施工会社に責任が生じます。

配管の接続不良や部品の間違いなど、建築時に何らかのミスがあったケースが該当します。

ただし、責任を負う期間は契約書や法律で期間が定められているため、注意が必要です。

人為的な問題があった場合

人為的な原因で起きた水漏れ事故なら、それを起こしてしまった本人が責任を取らなければなりません。

分譲マンションであれば、部屋の所有者または入居者が責任を負うのが一般的です。

設備や建物の老朽化などが原因であれば、欠陥のあった箇所を所有している人が損害賠償責任を負います。

専有部分で起きた水漏れはその部屋の区分所有者、共用部分であれば管理組合に責任が生じるのです。

もし水漏れの被害者になってしまったら?

マンションの最上階に住んでいる人を除き、上の階の部屋で起きた水漏れ事故で被害を受けてしまう可能性があります。
自分が被害者になってしまった場合は、すぐに管理会社や管理組合に連絡し、原因を突き止めるようにしましょう。

「そのうち水漏れも止まるだろう」と楽観視していると、いつまで経っても水漏れが止まらず、被害が広がってしまうおそれがあります。

また、実際に被害を受けた証拠を残すためにも、水漏れしている状況がわかる写真や動画を撮っておくことが大切です。

なお、上の階からの水漏れに気づいたとしても、直接上の階の居住者と被害の賠償について話し合うのは避けましょう。

話の内容や態度などによっては、余計なトラブルを生み出しかねません。

水漏れ事故が起こったら、まずは原因を特定して適切に対処し、被害を最小限に食い止めることが何より大切です。損害の補償についてはその後に話し合いましょう。

自分が加害者になってしまった場合は?

自分の不注意などで水漏れ事故を起こしてしまった際には、できる限り早く対処して水漏れを止めることが先決です。
異常を見つけたらすぐに管理会社や管理組合に連絡し、調べてもらうようにしましょう。

このとき、階下の部屋にも水が漏れていないか状況を確認してもらうことも大切です。

ただ、壁や床の中の配管などから水漏れしている場合、自分では気づかないうちに被害を与えている可能性もあります。

逆に階下の部屋の住人や管理会社などから「水漏れしているようだ」と連絡があったときは、門前払いなどはせず、誠実な対応を心がけましょう。

水漏れ箇所によってはフローリングなどを剥がして調べることもあります。

水漏れを放置するとカビや建物全体の劣化など、さまざまなリスクがあるため、できる限り調査に協力することも大切です。

加害者になる可能性も念頭に

水漏れ事故は、単に床や壁が水浸しになるというだけでなく、建物そのものに大ダメージを与えてしまうリスクもあります。

自分の部屋だけでなく、階下の住人にまで迷惑をかけてしまう可能性もあるため、くれぐれも注意を怠らないようにしましょう。

被害の拡大を防ぐためにも、異常を見つけたら可能な限り早期解決を目指して行動することが大切です。

自分では気づかないうちに加害者になっている可能性もあるため、個人賠償責任保険に入るなど日ごろからリスクに備えておくとよいでしょう。

各区分所有者が個別に加入せずとも、マンション全体で個人賠償責任保険に加入しているケースも多いため、管理組合が加入している保険の内容が不明な場合は管理組合に確認しておくのもよいでしょう。

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解決できないトラブルはどこに相談すればいい?

マンション内におけるトラブルは一旦こじれるとお互い感情的になりやすく、裁判沙汰になってしまうケースもみられます。
管理組合だけで解決できなくなった場合は、管理会社、マンション管理士、弁護士などにアドバイスやサポートをしてもらうことも有効な対策の一つです。

また、国土交通省から「マンション管理適正化推進センター」の指定を受けている団体である「マンション管理センター」や、マンション管理会社が加盟する唯一の業界団体である「マンション管理業協会」などへの相談も選択肢の一つです。

一般的な回答しか得られないかも知れませんが、トラブルの解決方法については中立的かつ一般的なアドバイスの方が有効な場合があります。

関連記事:必要?大規模修繕工事コンサルタントの役割と選び方とは

さいごに

国交省が実施しているマンション総合調査によると、約70%の方が直近1年の間に何らかのトラブルが起きています。

マンション内のトラブル対応は、管理組合の業務のうちの大きなウエイトを占める一つといってよいでしょう。

トラブルが起きないようにすることも大切ですが、ゼロにするのはなかなか難しいところ。

ある程度は問題が起きることを前提に考えておく必要があるでしょう。

重要なのは問題が起きたあと、なるべくその問題が小さいうちに解決することです。

そのために必要なことは、なによりもまず「迅速に」対応することです。

管理会社に管理業務を委託しているマンションの場合、大半のトラブルは管理会社に対応を依頼することになるでしょう。

トラブル対応力が管理会社の力量といっても、決して過言ではありません。

水漏れが起きているのに悠長に「担当者が不在のため対応できません」では、被害が拡大するばかりです。

また、騒音で悩んでいる人からすると一日も早く対処してくれないと不満は募るばかりでしょう。

毎日寝不足になり、体調不良を引き起こす要因になるかもしれません。最悪の場合、訴訟に発展することもないとはいえません。

そして、矛先が騒音の部屋の住民のみならず、管理組合に向く可能性も大いにあるのです。

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