マンション大規模修繕の適切な周期とは?目安は何年ごとの工事?

マンションを管理する上で、切っても切れない関係にあるのが「修繕」です。

中でも、数十年おきの周期で行う必要がある「大規模修繕工事」は、名前の通り大掛かりなもの。やろうと決めてから数日でできるようなものではありません。
大規模修繕工事を行おうとしたら、その数年前から準備をしておく必要があります。

では、その大規模修繕工事はおよそどれくらいの周期で行うものかご存知ですか?

今回は、大規模修繕工事の一般的な施工頻度や周期について、各メンテナンスポイントも交えて説明していきます。

大規模修繕工事はマンションの資産価値や居住者の暮らしの質を下げないためにも、必ず行わなければなりません。しっかりと知識を蓄えて今後に備えておきましょう。

なぜマンションは大規模修繕が必要なのか?

大規模修繕を行わないまま劣化を放置した場合、発生する問題は大きく分けて2つあります。

  1. 生活に支障をきたす可能性がある
  2. マンション全体の資産価値が下がる可能性がある

生活に支障をきたす可能性がある

マンションに設置されている給排水設備の修繕工事を怠ると、ある日突然「水道の水が出ない」「トイレが流せない」などの事態が生じるかもしれません。
エレベーターや機械式駐車場なども同様です。
定期的な修繕工事を行わないと、ある日突然エレベーターが止まってしまったり、自分の車が出庫できなくなったり、といった事態につながる可能性があります。

マンション全体の資産価値が下がる可能性がある

建物の経年に伴う劣化を放置すると、見た目やイメージが悪くなります。

また、故障や不具合だけでなく付属する設備の仕様が古くなり、生活上における不便さを感じることが増えるかもしれません。
マンションの住宅としての暮らしやすさが損なわれると、価値が下がってしまいます。
その結果、将来的に売却したり賃貸として提供する際に、価格や家賃を下げざるを得ないかもしれません。

外壁の劣化によるタイルの落下事故も想定されます。
このような大事故を防ぐためにも、大規模修繕は非常に大切な意味を持っているのです。

築年数別にメンテナンスポイントを理解する

マンションに長く快適に住んでもらうためには、定期的な修繕や改修を行い、マンションの機能や性能を維持し、向上させていくことが必要です。

マンションの状態に応じた適切な改修計画を立案するためには、マンションの劣化状態を把握する正確な診断が必要です。
大規模修繕の周期は12~15年が一般的のため、第一回目の大規模修繕を控えた10年目が最初の診断適齢期とされています。

大規模修繕で行われる工事内容は?

大規模修繕工事の内容は回数(経年)ごとの劣化具合や修繕具合によって変わることを覚えておきましょう。

まず1回目の大規模修繕工事は外壁を中心に行われます。
しかし、2回目は外壁だけでなく、玄関ドアやアルミサッシなど、建物内の小さなところも含めて修繕工事を行います。
そのため、2回目の工事は1回目よりも広範囲になることが多くなるのです。

3回目の工事では、社会や法律などの変化に基づいて時代に合わせた設備や部材の更新、耐震補強工事、省エネ化などの工事も付随して行われます。
その分、費用が嵩むことは事前に把握しておきましょう。

10年単位の周期で行う大規模修繕とはまた別に、細かなメンテナンスも必要です。
そういった部分も含め、だいたいどれくらいの築年数時に、どのような修繕が発生しやすいかを解説します。

今回の内容はあくまでも目安です。対象のマンションにおける劣化状況やこれまでのメンテナンスの実績によって異なります。
「まだ年数が経っていないから」と放置せず、定期的なメンテナンスを行いましょう。そうすることで、価値の高い状態でのマンション保持へとつながります。

4~6年目 鉄部塗装

マンションが建築されて4〜6年目は劣化の兆候が現れ始めている部位のメンテナンス時期です。
建物点検報告書を確認をしておきましょう。

また、このころから大規模修繕に向けて長期修繕計画の確認、見直しをし始めた方が良いと思われます。
【主な修繕箇所】鉄部

7~10年目 小修繕

7〜10年目には本格的に大規模修繕を視野に入れ始める時期です。
大規模修繕工事に向けて、修繕委員会の立ち上げなどの準備へ着手し始めましょう。

また、建物点検報告書を確認し、建物全体を見渡すことが必要です。将来的な大規模修繕工事にむけて建物診断の受診をおすすめします。

【主な修繕箇所】鉄部、屋根、屋上、給水ポンプ、雨水排水ポンプ

11~15年目 第1回大規模修繕工事

実施後は長期修繕計画を見直し、大規模修繕工事の実績を反映させましょう。

【主な修繕箇所】
鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段、バルコニー、インターホン、TVアンテナ、消火栓、エントランス、集会室、機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽 等

16~20年目 鉄部塗装・屋上防水、自火報関連、機械式駐車場、給排水ポンプ等の修繕

劣化の兆候が現れ始めている部位のメンテナンス時期です。
直近の設備点検等の報告内容を確認しましょう。
また、2度目の大規模修繕工事を視野に入れて設備診断の受診をおすすめします。

【主な修繕箇所】
鉄部、屋根、屋上、火災感知器等、機械式駐車場、給水ポンプ、雨水排水ポンプ

21~25年目 第2回大規模修繕工事

実施後は長期修繕計画を見直し、大規模修繕工事の実績を反映させましょう。

【主な修繕箇所】
鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段、バルコニー、インターホン、TVアンテナ、消火栓、エレベーター、エントランス、集会室、機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽、給水管、雑排水管、給水ポンプ、雨水排水ポンプ 等

26~30年目 エレベーター交換

直近の設備点検等の報告内容を確認しましょう。

【主な修繕箇所】インターホン、エレベーター、給排水管交換

31~40年目 第3回大規模修繕工事

30年以上が経ったこのくらいの時期になると、最新の設備と比べてだいぶ古いものになっています。
資金に余裕があれば改良工事の検討もしたいところです。

3回目の大規模修繕工事をそのまま行うのか、緊急性のないものは後回しにして改良工事へ向けて修繕費を工面するのかはマンションによって異なります。

実施後は長期修繕計画を見直し、大規模修繕工事の実績を反映させましょう。

【主な修繕箇所】
鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段、バルコニー、TVアンテナ、消火栓、エントランス、集会室、機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽等、玄関ドア、サッシ、手摺、雑排水管

マンションの大規模修繕の周期は何年が目安?

12年周期の大規模修繕を前提としているマンションが多く、一般的といえるでしょう。
国土交通省による「長期修繕計画作成ガイドライン」において「12年周期」と表記している箇所があるため、それに倣っている面があるためと思われます。

また、建築基準法上「竣工・外壁改修後10年を経てから最初の調査の際に全面打診等による調査を行う」ことが定められています。万が一落下事故が起きてはいけないため、早めに実施しようとするマンションが多いのでしょう。
打診調査では、タイル貼りやモルタルの表面を打診棒やテストハンマーを用いて、タイルなどが浮いているかどうかの程度を調べます。叩いた時の音の反響で異常を判断するため、知識と経験が必要になります。
この全面打診調査を行うには(建物の規模にもよりますが)足場が必要になる場合が多いです。
大規模修繕にも足場の組み立てと解体が必要であるならば、大規模修繕工事と全面打診調査とを別々に行うより、同時に実施した方がコスト面において無駄がないと考えられるでしょう。

したがって、概ね12年周期を目安とした大規模修繕の実施が定着しているのが現状のようです。

しかし、建物の劣化状態によって12年の周期を多少早めたり遅らせたりする対応も必要となるため、まずはマンションの状態をしっかりと把握することが重要になります。

マンション大規模修繕にかかる生涯費用を計算してみる

国土交通省が実施した「平成30年度マンション総合調査」の結果によると、マンション全体での修繕積立金収入は月額84万円となっています。

仮にマンションが50年間存在し、修繕積立金が全て修繕費として使用された場合で考えてみましょう。

84万円×12カ月×50年=5億400万円

マンション全体における修繕積立金収入は50年間で5億400万円になる計算です。
これはあくまでもアンケート上でのデータであり、修繕積立金が不足しているケースや、借入をしているケースなど、想定されることが含まれているとも限りません。
全てのマンションがこの数字に当てはまるとはいえませんが、参考としてかなり高額な費用が必要になるということはイメージできます。

1世帯あたりでみてみると、月額平均12,268円。
同じ条件で計算してみると12,268円×12カ月×50年=約736万円です。こちらも結構な金額になることがわかりますね。

マンションの大規模修繕周期を長くするために必要なこと

大規模修繕工事には、やはりどうしても莫大なコストがかかります。
そのため、できるだけ周期を長くして、工事の頻度を下げたいというのが本音でしょう。
重要なことは「管理組合側がしっかりと当事者意識を持って検討する」という点です。

工事周期を長くするために、といって今行うべき工事を先送りするのは良くありません。
必要な工事を行わないことで建物の劣化を早め、結果的に工事費が割高になることもあります。

工事周期を伸長するためにはこれから行う工事のことだけでなく、次に行う工事のことも考えておくことが大切です。

工事プランの比較方法とは

通常、大規模修繕工事を行う際には、いくつかの工事プランを比較検討するのが一般的です。
その際、単純に安いか高いかの比較だけでなく「材料に耐久性の高いものを選んだ場合、どの程度費用が高額になるか」も一緒に確認しておくのが良いでしょう。
そうすることで、多少高くなっても次の工事時期を後ろ倒しすることができるかどうかの正常な判断がつきます。
その判断をもとに修繕工事の計画を練り直してみましょう。
「あの工事を後ろ倒ししたことで、長い目でみると安価で済んだ」ということがあるかもしれません。

理事会役員の選び方も重要な鍵

たまたま、大規模修繕時期の理事会役員をあまり建築関係に詳しくない方たちだけで構成してしまう、といったことも珍しくありません。

そのような場合、通常の理事会業務は問題なくこなせたとしても、建築関係は知識や経験がないと業者の言いなりになってしまうケースにつながることも。

そうならないためにも
「区分所有者のなかから建築関係に明るい人をピックアップしておく」
「前回の大規模修繕時に理事会や委員会メンバーだった人に協力を依頼する」
「日頃から大規模修繕セミナー等に参加し知識を蓄える」
「色んな業者から話を聞いてみる」等の取り組みが有効でしょう。

さいごに

大規模修繕工事で失敗しないためには、信頼できる専門家の存在が重要です。
自社の利益の追求ではなく、管理組合の立場でアドバイスできる人の方がより信頼できるでしょう。

具体的にはマンション管理士やコンサルタントの方でしょうか。
しかし、いざそういった方が必要になってから探していては、見つかった時点ではもう「時すでに遅し」な状況かもしれません。

日頃から「こういった相談はここに」という存在が決まっていると安心でしょう。
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このタイミングでクラセルの導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。