マンションのお高い管理費・修繕積立金は一生払うもの?戸建ての方がお得って本当?

分譲マンションを購入すると、必ず支払義務が生じるのが「管理費」と「修繕積立金」です。

区分所有者として部屋を所有し続ける以上、決して安くない金額を払い続ける必要があります。

戸建てを買った場合は、管理費や修繕積立金はないのに、マンションだとどうして必要なのでしょう?

今回のコラムでは色々な面から管理費・修繕積立金について触れていきたいと思います。

管理費と修繕積立金の違いとは

「まだマンションを購入したばかりで、管理費と修繕積立金の違いがよく分からない」

そういった方向けにまずは基礎的な情報を確認していきましょう。

ベテランの役員さんは飛ばしていただいて結構です。

管理費

管理費は、マンションの共用部分の維持管理費に使われるお金です。

清掃や設備点検の費用、共用部分の水光熱費、火災保険料、日常的な修繕費用などに充てられます。

近いイメージとしては、一般家庭でいうところの生活費でしょうか。

マンション全体で必要となる費用を算出し、所有している部屋の広さに応じて各区分所有者が負担するのが一般的です。

修繕積立金

各区分所有者から徴収するお金には管理費以外に「修繕積立金」があります。 

修繕積立金は、十数年ごとに行われる大規模修繕工事のために積み立てられているお金です。

一般家庭でいうところの、将来を見据えた貯金といったところでしょうか。

劣化した共用部分の修繕や、資産価値を高めるための改修工事に使われます。
大規模修繕工事は長期修繕計画に基づいて行われるため、修繕積立金も長期修繕計画に基づいて積み立てられます。

関連記事:マンション大規模修繕とは?その費用や目安について解説!

管理費と修繕積立金を一生払い続けなければならない理由

管理費と修繕積立金は、マンションの区分所有者である間ずっと支払い続ける必要があります。

その理由を「法的な側面」「建物の維持管理面」二つの側面から見ていきましょう。

支払い続けなければならない法的な根拠など

区分所有法(正式名:建物の区分所有等に関する法律)において、分譲マンションの所有者は管理組合に加入することが義務付けられています。

つまり「私はマンションの所有者であるが、管理組合には加入したくない」という主張は認められないのです。

次に、一般的なマンションの場合、必ず「管理規約」があります。管理組合内におけるルールを制定したものです。大げさに言えばマンション内の法律のようなものと言えるでしょう。

区分所有者になると、この管理規約の定めに従う義務が生じます。

管理規約には、管理費や修繕積立金を支払うことや、各部屋の所有者が負担すべき金額などが定められていますので、この管理規約によって支払義務が生じているというわけです。

よって、マンションを所有している限りは管理組合にも加入する義務もありますし、管理費・修繕積立金も支払い続ける必要があります。

「自分はマンションに住んでないから、管理費は払いたくない」という主張される方もたまにいらっしゃいますが、その主張は認められないのです。

似た組織「町内会」

ちなみに、管理組合と似たような組織に「町内会」がありますが、こちらは法律上では加入は任意となっています。

つまり、加入も脱退も本人の自由ということになります。

建物の維持管理面

マンションにはさまざまな設備が存在します。

マンション内で生活をするために必要な給排水設備や電気関連設備、防犯のためのオートロックや上階で暮らす方のためのエレベーター、法律上設置が義務付けられている消防設備など、たくさんの設備があります。

これらの設備をいつでも問題なく使用できる状態を保つために欠かせないのが、点検などのメンテナンスです。
設備によっては「法定点検」といって、点検が義務付けられているものもあります。

これらの維持管理を行うために、管理費は不可欠です。

また、エレベーターやオートロックを稼働させるためには当然ながら電力が必要ですし、夜になれば外灯の点灯も必要です。これらを稼働させるには当然ですが電気代も必要になります。

マンションが存在し、そこで暮らす人がいる以上、ずっと管理費は必要なのです。

戸建てとマンション、コスト面で何が違う?

住宅購入を検討した方の多くは「戸建てとマンション、どっちが良いの?」と考えたことがあるのではないでしょうか。

結論から言うと「どっちが良い」という正解はありません。

戸建てとマンション、それぞれにメリットとデメリットがあり、ご自身や一緒にお住まいになるご家族が重視するポイントによって選択すれば良いのではないかと思います。

一般的には戸建てとマンションには以下のような違いがあります。

戸建てマンション
販売価格立地や広さなど、同じ条件なら戸建ての方が高くなる
管理費・修繕積立金なし あり
定期的な修繕・所有者自らが対応
・まとまった費用がかかる
・管理組合として対応
・修繕積立金から捻出
将来的な売却のしやすさある程度年数が経過すると土地代金のみになってしまう中古でも売買は活発(物件によるが、あまり値崩れしないマンションもある)
セキュリティ面低い(自身で警備会社と契約するなどすれば別)高い
駅からの距離遠くなりがち 駅近マンションもある
駐車場スペースがあれば当然無料 駐車場代がかかる
ペット飼育自由管理規約による
騒音問題あまり問題にならない上下階でトラブルになることがある
ゴミ出し決められた曜日に自分で集積場まで出しに行く敷地内のごみ置き場に24時間いつでも出してOKなマンションも多い

たとえば、

  • 小さなお子様がいるため、マンションでは騒音問題が不安
  • 駅から遠くても、通勤に時間がかかってもあまり苦にならない
  • 庭がある家が好き
  • 車を複数所有している
  • ペットを自由に飼いたい

といったお考えであれば戸建てが向いていると言えます。

逆に、以下のようなお考えであればマンションの選択の方がぴったりかもしれません。

  • 当面は夫婦二人だけで生活をするつもり
  • 車を保有する予定もない
  • 多少高くても、会社から近い都心部に住みたい
  • セキュリティ面で安心できる住まいが良い
  • 終の棲家としては考えておらず、いつかは住み替えたい

関連記事:マンションの管理組合でよくあるトラブルとは?その解決法も解説

高い管理費・修繕積立金の負担を抑える方法

戸建てにはない、管理費・修繕積立金……。

これらを少しでも安くする方法はあるのでしょうか?

管理費・修繕積立金ごとに対応策が異なりますのでそれぞれ見ていきましょう。

管理費を安くする方法

  • 管理業務の仕様を見直す
  • 管理業務の発注先を変更する
  • 管理会社に委託している業務の一部を自主管理に切り替える
  • 管理会社を変更する
  • 電力会社を変更する
  • 空いている駐車場を外部者に貸し出す
  • マンションの空きスペースを有効活用する

管理業務の仕様を見直す

管理業務の仕様というのは、管理員の勤務時間や清掃などの各種作業の頻度のことです。

たとえば管理員が週に5日勤務である場合。
半分の勤務日数にしてもらえば、その分管理費用は安くなります。

管理員が不在の日が増え、住民の方にとっては不都合かもしれません。

しかし管理費の値上げよりはこっちが良い、という意見が多ければ仕方ないと言えるでしょう。

清掃も同じです。
毎日清掃してくれると気持ちよく、快適に生活ができます。

しかし、費用を削減するために2~3日に一度に減らしても良いかもしれませんね。

消防設備など、法律で定められているものの点検頻度を下げることはNGですが、宅配ボックスや自動ドアの点検などを見直してみるのは一つの手として挙げられます。

管理業務の発注先を変更する

管理会社ではなく、専門業者に直接頼むことで管理費用を抑えることができるかもしれません。

多くの管理会社は清掃業務や点検業務などを下請企業に再委託しています。
つまり、管理会社の利益と専門業者の利益の二重利益状態になっているのです。

直接専門業者に発注することで管理会社の利益分が浮くことになります。

また、既に直接専門業者に発注しているという場合でも、業者を変更することで費用が下がる場合があるため、定期的に見直すのがおすすめです。

委託している業務の一部を自主管理に切り替える

管理会社に委託している業務のうちの一部を自主管理に切り替えるのも、管理費を安くする方法として適切です。

たとえば理事会・総会業務などは自分たちで始めやすいかもしれません。

ただ、管理会社への委託費用が削減できるメリットはありますが、管理組合の役員の負担が増すというデメリットがあります。

関連記事:マンション管理の法人化とは?メリット・デメリットや法人化の方法などを徹底解説!

関連記事:新しいマンション管理の選択肢!第三者管理方式の導入メリットとデメリット

管理会社を変更する

いわゆる管理会社のリプレイスです。
ある意味これが一番手っ取り早い選択肢かもしれませんね。

管理会社ごとに利益率は大きく異なるので、管理会社を変更することで費用の大幅ダウンが見込めるでしょう。

たまに、管理会社を変更すること自体に不安感を抱く方がいます。
しかし、管理会社の変更は割と多くのマンションで行われていることなので、特に気負うこともありません。

リプレイスに慣れている会社であればたいていの場合、特段大きな問題も生じていないようです。

関連記事:【管理組合役員は必見】管理会社の変更手順とその注意点

関連記事:マンション管理会社が契約更新を拒否!?更新拒否の背景と管理組合ができることを解説

電力会社を変更する

電力自由化によって電力会社を自由に切り替えられるようになりました。

昨今は電気代自体が非常に高騰しているので、切り替えによる大幅な費用削減は見込めないかもしれません……。

しかし、確認してみて損をすることはないため、自由化以降一度も電力会社の見直しをしたことがないマンションの方は、ぜひ検討してみることをおすすめします。

空いている駐車場を外部者に貸し出す

近隣の月極駐車場の数が不足している場合や、マンションの方が相場より安い場合などは有効な選択肢かもしれません。

また、空き区画を一括で借り上げる、いわゆるサブリースをしてくれる会社もいくつかあります。
そういった企業に相談するのも有効な選択肢でしょう。

ただし、収入が増えるというメリットがある一方で、以下のようなデメリットもありますので注意が必要です。

  • 外部者に貸し出すと、収益事業とみなされ、課税対象となる
  • 外部の方がマンションの敷地内に出入りすることになり、セキュリティ面で不安視される方もいる

こういったデメリットがあることも踏まえ、どう対処していくべきかを含めて検討していくのがベストな形でしょう。

関連記事:マンション敷地内の無断駐車は警察に通報?予防法や対処法も解説

マンションの空きスペースを有効活用する

少し前だと、携帯電話会社の基地局設置などが代表例でした。

屋上などに携帯電話会社の設備を設置させてあげる代わりに使用料をもらえていました。

他にも自動販売機を空きスペースに設置し、売り上げに応じて手数料を収受したり、最近では、シェアサイクルのスペースを貸し出したりする例も見られます。

これも収入が増えるメリットがある一方で、収益事業とみなされるデメリットがあるため確認が必要です。

管理費については、これらの対策を一つ一つ行うことで、金額を下げられるケースも多く見受けられます。

修繕積立金を安くする方法

  • 不必要な工事をしない
  • 複数社から相見積もりを取得し、少しでも安い業者に発注する
  • 長期修繕計画を定期的に見直す

修繕積立金を下げるためにはこのような対応策が考えられますが、残念ながら修繕積立金を値下げできるマンションはあまり多くありません。

逆に値上げが必要なマンションの方が多いくらいです。

工事費は年々高騰していますし「段階増額積立方式」とよばれる一定年数ごとに値上げを前提とした積み立て方をしているマンションも多く見受けられます。

そのため「修繕積立金を下げる」というよりは「これ以上値上げしない」ための取り組みと言った方が正確かも知れません。

まとめ

マンションを所有している限り、一生払い続ける管理費・修繕積立金。

できれば少しでも安くしたいですよね。
弊社は管理費削減の提案にはとても自信があります。

弊社のマンション管理アプリ「クラセル」を使った自主管理の提案もできますし、クラセルを活用した効率的な管理を行う管理会社をご紹介することも可能です。

修繕積立金を下げることは、先述の通りなかなか難しいものがあります。

しかし管理費の支出を抑え、余った分を修繕積立金に回して値上げを回避するといった対応をされているマンションの事例も増えてきました。

管理費を少しでも安くしたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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