もったいないと思えるマンション管理費、毎月支払うのには理由がある

分譲マンションを購入すると、必ず支払い義務が発生する管理費・修繕積立金。
決して安くはない金額を毎月支払っているけど、一体何に使われているの?
もう少し安くできないの?

そのような疑問を持たれる方も多いようです。
今回は管理費や修繕積立金を徴収する目的や、相場などについて解説していきます。

毎月支払っている管理費や修繕積立金は何に使われている?

「まだマンションを購入したばかりで、管理組合のことや管理会社の役割などあまりよく分からない」

そういった方向けに、まずは基礎的な情報を確認していきましょう。
ベテランの役員さんは飛ばして読んでいただいて結構です。

管理費について

管理費は、マンションの共用部分の維持管理費に使われるお金です。

管理会社への業務委託費用や、清掃、共用部分の水光熱費、日常的な修繕費用などに充てられます。

賃貸住宅の場合、家賃以外に「管理費」や「共益費」という名目で家主さんに支払うことが多くあります。
この管理費でマンションやアパートの清掃や共用部の電気代などを賄う訳ですが、分譲マンションの管理費も考え方としては同じです。

分譲マンションの場合は「所有している人」から管理費を徴収します。
マンション全体で必要となる費用を算出し、所有している部屋の広さに応じて各区分所有者が負担するのが一般的です。

ちなみに、管理費は全て管理会社の利益になっていると思っている方がいらっしゃいますが、それは間違いです。

マンションによって差はありますが、管理費のうちだいたい多くて80%くらいが管理会社に対する支払いに充当されるイメージでしょうか。
残りは共用部の電気代や、保険料に充てられます。

関連記事:マンション管理費が高くて支払いがきつい?滞納者と管理組合ができるそれぞれの対策とは

修繕積立金について

各区分所有者から徴収するお金には管理費以外に「修繕積立金」があります。 

修繕積立金は、十数年ごとに行われる大規模修繕工事のために積み立てられているお金です。
一般家庭でいうところの、将来を見据えた貯金といったところでしょうか。

劣化した共用部分の修繕や、資産価値を高めるための改修工事に使われます。

大規模修繕工事は長期修繕計画に基づいて行われるため、修繕積立金も長期修繕計画に基づいて積み立てられます。

関連記事:マンション大規模修繕とは?その費用や目安について解説!

管理費や修繕積立金の相場はいくら?

「自分のマンションは他のマンションと比べて管理費も修繕積立金も高い気がする」

そう思われたことのある方も多くいらっしゃるようです。
実際、管理費などの相場はどのくらいなのでしょうか?

管理費の相場

自分のマンションの管理費が高いのか安いのかの目安となる「相場」のようなものはありません。

管理費の金額は「マンションによって違うから」です。

例えば総戸数20戸のマンションと200戸のマンションでは1世帯当たりの管理費負担額はずいぶん変わってきますし、マンションの築年数によっても差が出ます。

委託する管理会社によっても違います。
大手でブランド力のある管理会社は手厚いサービスの代わりに管理委託費が高くなりがちですし、安さを売りにしている管理会社もあります。

築年数も総戸数も委託している管理会社もマンション内にある設備もほぼ同じ、というマンション同士を比較するなら良いですが、なかなか同じような条件のマンションというのは存在しません。

よって管理費に対して「相場」という考え方は難しいのです。

近い話として、今の管理費がもう少し安くなる可能性はないか、という方法ならあります。
管理費の支出の大半を占める管理会社への管理委託費を見直すことです。

このあたりは別のコラムで詳細を書いていますので、あわせてご覧ください。

関連記事:マンション管理の委託費用の相場とは?

関連記事:マンションによって管理費の高い・低いが異なる理由とは?そもそも何に使う?

関連記事:【管理組合役員は必見】管理会社の変更手順とその注意点

修繕積立金の相場

修繕積立金もマンションの状況によって差が出てしまうため、明確な相場というものはありませんが、国土交通省が公開している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」というものが存在します。

機械式駐車場がない場合

地上階数 建築延床面積 平均値/㎡(月額)
20階未満5,000㎡未満335円
5,000㎡以上~10,000㎡未満252円
10,000㎡以上~20,000㎡未満271円
20,000㎡以上 255円
20階以上338円

例:15階建てマンション|総床面積 4,000㎡|部屋の面積 70㎡ の場合

335円×70㎡=月額23,450円

が目安となります。

相場とは少々違いますが、参考にしてみてください。

このあたりの話も別のコラムで詳しく書いています。よろしければあわせてお読み下さい。

関連記事:マンションの修繕積立金、相場はいくら?そもそも必要なの?あらゆる疑問を解消!

マンションは管理費を支払う必要がない一戸建ての方がお得?

一戸建てなら管理費や修繕積立金の支払い義務はありません。

住宅購入を検討した方の多くは「戸建てとマンション、どっちが良いの?」と考えたことがあるのではないでしょうか。

結論から言うと「どっちが良い」という正解はないように思います。

戸建てとマンション、それぞれにメリットとデメリットがあり、ご自身や一緒にお住まいになるご家族が重視するポイントによって選択すれば良いのではないかと思います。

一般的には以下のような違いがあります。

戸建てマンション
販売価格 立地や広さなど、同じ条件なら戸建ての方が高くなる
管理費・修繕積立金なし あり
定期的な修繕 ・所有者自らが対応
・まとまった費用がかかる
・管理組合として対応
・修繕積立金から捻出
将来の売却のしやすさ ある程度年数が経過すると土地代金のみになってしまう 中古でも売買は活発
(物件によるが、あまり値崩れしないマンションもある)
セキュリティ面 低い(自身で警備会社と契約するなどすれば別) 高い
駅からの距離 遠くなりがち 駅近マンションもある
駐車場 スペースがあれば無料 駐車場代がかかる
ペット飼育 自由 管理規約による
騒音問題 あまり問題にならない 上下階
ゴミ出し 決められた曜日に自分で集積場まで出しに行く 敷地内のごみ置き場に24時間いつでも出してOKなマンションも多い

例えば、

  • 小さな子どもがいるため、マンションでは騒音問題が不安
  • 駅から遠く、通勤に時間がかかってもあまり苦にならない
  • 庭がある家が好き
  • 車を複数所有している
  • ペットを自由に飼いたい

といったお考えであれば戸建てを選択すれば良いでしょう。

逆に以下のような考えであればマンションの選択がおすすめです。

  • 当面は夫婦二人だけで生活をするつもり
  • 車を保有する予定もない
  • 多少高くても、会社から近い都心部に住みたい
  • セキュリティ面で安心できる住まいが良い
  • 終の棲家としては考えておらず、いつかは住み替えたい

まとめ

このコラムをお読みいただいている方の中には、管理費・修繕積立金が高いと感じていらっしゃる方や、もう少し下げたいと考えていらっしゃる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

修繕積立金の方は現時点で不足しているマンションも多く、下げることが難しいケースが大半ですが、管理費の方は色々な面を見直すことで下がるケースがよくあります。

弊社のお客様においても、管理会社を変更したり、管理業務の一部を自主管理に切り替えたりすることで管理費を抑える事例も多く見受けられるようになりました。

このあたりの話を詳しく聞いてみたい、他マンションの事例を参考にしたいといったご要望がありましたら、ぜひお気軽にお問合せください。

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