小規模マンションが自主管理でやることは?管理会社変更の検討で気をつけたいポイントも紹介

最近、管理会社が管理委託契約を更新せず、管理を打ち切られてしまうといったお話をよく耳にします。
特に、30戸以下の小規模マンションで多く起きているようです。

そのようなマンションの方は他の管理会社を探そうとされますが、なかには自主管理に移行しようと考える方もいらっしゃいます。

今回は小規模マンションにおいて自主管理を行う場合や、管理会社の変更を検討する場合の注意点などを解説します。

関連記事:マンションの自主管理とは?やるべきこととメリット・デメリットについて

小規模マンションとは

小規模マンションの明確な定義はありません。インターネット上で検索すると「50戸未満」や「30戸以下」を小規模マンションと定義づけているものが見受けられます。

全国の分譲マンションの平均戸数は60戸前後と言われているため、30戸以下のマンションを小規模マンションと定義づけるのが一般的かと思われます。

小規模マンションの自主管理でやることは?

自主管理マンションの役員の方がやるべきことは主に以下の通りです。

  1. 清掃や点検作業などの建物維持管理業務の発注
  2. 上記業者さんへの費用支払
  3. 区分所有者や居住者の名簿管理
  4. 駐車場・駐輪場などの契約管理
  5. 管理費等の徴収
  6. 決算書類の作成
  7. 理事会・総会運営
  8. 大規模修繕工事対応

なお、小規模マンションであっても大規模マンションであってもやるべきことはあまり変わりません。

小規模マンションにかかる修繕積立金の相場は?

結論から言うと、修繕積立金には金額の妥当性を示す相場のようなものはありません。

修繕積立金は長期修繕計画に基づいて設定されます。

同じ50世帯のマンションであっても、マンション内に存在する設備の種類や、築年数、これまでのメンテナンスの状況などによって長期修繕計画自体が大きく変わってくる場合があります。
そのため、マンションの状況によって修繕積立金の額が変わってくるのです。

なお、一般的には小規模マンションは修繕積立金が高くなる傾向があると言われています。

当然ながら大規模修繕工事の総額自体は大型マンションと比べると安価になりますが、案分する戸数が少ないために割高になってしまうのです。

小規模マンションで自主管理を行うメリットとデメリット

この章では小規模マンションで自主管理を行うメリット・デメリットを解説します。

メリット① 管理費用が抑えられる

マンション管理会社に管理委託費を支払う必要がないため、その分管理に必要なコストが安価になることが多いです。

また、たとえば管理会社に一括で管理業務を発注するのではなく、清掃は清掃、点検は点検を得意とする会社に直接発注することで、コストを抑えることも可能でしょう。

全部委託方式と比べて管理にかかる費用を抑えるための工夫の幅が広いという点も、メリットといえます。

メリット② マンション管理に対する意識が高まる

管理会社に委託した場合、全て管理会社に任せきりにしてしまうこともあるかもしれません。
そうなると、自分のマンションにもかかわらず管理に対する意識が低下する可能性も浮上しますし、そういう管理組合も実際みられました。

管理意識の低い組合では、悪質な管理会社によって適切な業務が行われていなかったとしても、気付かずに管理委託費を払い続けてしまう恐れがあります。

一方、自主管理組合は管理業務を自ら行っているので、管理に対する問題意識が高い傾向にあります。

そのため、些細な点にも気づきやすく、細やかな管理を行うことも自主管理では可能となるでしょう。

メリット③ 住民間の交流が活発

自主管理では管理組合内の連携が欠かせません。

住民同士の接点が増えることで、管理会社に委託している管理組合と比べて交流が活発になる印象を受けます。

周囲との交流をこういった日常内において少しでも深めておくことで、地震や台風といった災害時に助け合うこともでき、いざという時の安心感が違ってくるでしょう。

関連記事:マンションの管理組合でよくあるトラブルとは?その解決法も解説

関連記事:分譲マンションに防火管理者は必要?報酬が出るのは本当?気になる点を徹底解説

デメリット① 役員の成り手不足が問題に

マンションの自主管理には管理組合内の連携が不可欠です。

まず、管理組合で理事会が組織され、その後理事長や会計担当といった役割が、理事会から選出されます。

管理会社委託の場合は管理会社の社員が理事会で業務報告を行ってくれるため、その内容を確認する程度です。

自主管理組合では誰かが理事会のメンバーとなり、管理業務が日々適切に行われているかを確認する必要があります。リーダーシップの資質を持った方が理事会のメンバーである間は、安心でしょう。

しかし最近では住民の高齢化が進み、理事会メンバーの「なり手」不足問題を抱える管理組合が増加してきています。
これを理由に「今後も自主管理を継続できるか」という課題を抱える自主管理組合もあるのが現実です。

関連記事:老朽化マンション問題とは?あなたのマンションもいずれ迎える老朽化。今のうちにできることとは?

デメリット② マンションに関する最新情報や知識を入手しにくい

たとえば、修繕積立金の運用方法の一つである「すまいる債」の申込締め切り日の情報や、管理計画認定制度などの情報です。

これらの情報は管理会社がお知らせしてくれる場合が多いですが自主管理になると自分たちで情報を取得しにいく必要があります。

デメリット③ 設備の管理が不十分になりがち

マンションを維持管理していくうえで、大切なものの一つが設備点検です。なかには法定点検といって法律上で一定期間ごとに点検することが義務づけられている点検項目もあります。

自主管理の場合、どのくらいの頻度で点検をするべきか分からずについうっかり法定期間を過ぎてしまった、ということも起こりやすいかも知れません。

関連記事:マンション大規模修繕の適切な周期とは?目安は何年ごとの工事?

やっぱり安心なのは管理会社に委託? でも失敗パターンには気をつけて

自主管理と管理委託、安心なのは管理会社に委託だとお考えの方が多いのではないかと思います。
確かに「管理費の高い安い」を気にしなければ管理会社に委託しておいた方が何かと安心だと思います。

しかしながら委託する管理会社によっては気を付けなければならないケースもあるのです。

割高な工事や不必要な工事を実施してしまうケース

管理会社から提出された工事の見積もりを元に、理事長の知り合いの業者に相見積もりをお願いしたところ管理会社の見積もりが相場の1.5倍から2倍くらいだった、といった事例をよく耳にします。

管理会社も営利企業ですから利益をあげようとするのは当然のことであり、相場よりも少々高いくらいの金額であれば目をつぶるべきかも知れませんが、あまりにも高額な利益が乗せられている場合は要注意です。

また、まだまだ修理や部品交換などで十分使える設備を「交換しかありません」と言われ丸ごと交換工事をさせられた、といったお話もよく聞きます。

余計な工事費用の支出は、将来修繕積立金の不足を招き、将来各区分所有者の負担が重くのしかかってきます。
その金額は負担する分母の数が少ない小規模マンションの方が高額になってしまいがちなので、注意が必要です。

管理費の値上げが毎年のように必要になってしまうケース

管理会社に委託をするということは、当然ながらそれだけ費用が必要ということです。
管理会社は多くの業務を下請先に再委託しています。

つまり、管理会社と下請企業の二重利益構造となってしまっており、値上げ要請を受けやすく、かつ、値上げ幅が大きくなってしまいがちです。

また、小規模マンションの方が管理会社の得られる利益額が少額なため、収益改善させるために値上げ幅が大きくなってしまうことがあります。

自主管理であれば管理組合が直接業者に発注をするため、値上げ要請があっても金額がそこまで高額でなかったり、または違う業者に切り替えて値上げを回避したり、といった対応も可能になります。

関連記事:マンション管理会社が契約更新を拒否!?更新拒否の背景と管理組合ができることを解説

管理会社による第三者管理方式の採用によって失敗してしまうケース

最近、管理会社による第三者管理方式の事例が増えています。

住民が高齢化し、役員の担い手が少なくなってしまったマンションの場合は有効な選択肢となるため、この方式自体は否定されるものではありません。(弊社でもマンションの状況によっては提案させていただくことがあります)

しかし、管理会社が管理者となる場合の最大のリスクは利益相反問題です。

たとえば10万円の工事が必要となった場合、管理者の立場ではもう少し安くできないか、と検討しますが、受託する管理会社の立場ではもっと高い金額で請け負えないかと考えます。

結果としてこの工事が12万円で実施された場合、管理組合は不利益を被ります。
これはほんの一部の事例ですが、あらゆる管理業務遂行の場面で利益相反問題が生じます。

管理会社が管理者を行う場合は、その運用ルールや監督方法などをしっかりと取り決めておきましょう。

関連記事:新しいマンション管理の選択肢!第三者管理方式の導入メリットとデメリット

自主管理の負担を抑えたい方におすすめなのが自主管理アプリ

管理組合向けのシステムやアプリは現時点でいくつか存在します。
マンション内の掲示板の代わりになるものや、総会の投票ができるもの、総会や理事会の資料をクラウド上に保管できるもの、理事会メンバー同士のコミュニケーションができるものなど、種類はさまざま。

弊社のマンション管理アプリ「クラセル」も管理組合向けのアプリです。
管理費の徴収や管理組合口座からの支払、決算書類の作成など、管理組合の会計・出納業務を効率化するためのアプリで、現時点では類似サービスが存在しない唯一無二のアプリです。

自主管理組合の方々にとって最も負担の大きい業務は会計・出納業務です。
毎月何度も銀行に行ったり、管理費の入金状況を確認したり、年度末には決算書類を作成しなくてはなりません

やるべきことが多すぎて、また、仕訳などの会計の知識が必要な場合も多いことから、この担当をする人の負担が大きくなりがちです。

そのため、引き受けてくれる人が一定の人に集中し、属人化しがちです。

特定の担当者に依存するような形ではなく、誰でも簡単に処理できるようにしたのが弊社のマンション管理支援アプリ「クラセル」です。

クラセルについてご興味ございましたらお気軽にお問い合わせください。

まとめ

今回は小規模マンションの管理運営がテーマでした。

昨今、管理会社を取りまく事業環境は厳しい状況が続いており、管理会社からの管理委託費の値上げ要請を受けてしまうケースが、特に小規模マンションにおいて増加しています。

一度値上げを受け入れたからしばらくは値上げがないかというと、決してそんなことはなく、毎年値上げを要請されてしまうケースも多いようです。

小規模マンションの場合、比較的自主管理運営がしやすいため、管理コストを抑える目的で自主管理に切り替えるというのも選択肢の一つになるのではないかと思います。

弊社ではクラセルを活用して自主管理を円滑に行っていらっしゃる管理組合様の事例を多く扱っておりますので、ご興味あればお問い合わせください。

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