管理会社の対応が遅いときにできる対処法とは。管理会社の変更方法なども解説

管理会社の対応が遅いというご不満をお持ちの方は結構たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

決して安くない管理費を毎月支払っているのに、依頼したことをしっかり対応してくれないとストレスになりますよね。

今回は管理会社の対応が遅い場合にできる対処法などを解説していきます。

管理会社の対応が遅いケース

弊社にお問い合わせいただいたお客様の話をお聞きすると、以下のような不満の声が多いようです。

  1. 問い合わせした内容に対する回答が返ってこない
  2. 理事会の議事録案の提出が遅い
  3. 理事会の依頼事項に対する対応が遅い
  4. 共用部の不具合に対する対応が遅い
  5. 漏水事故に対する対応が遅い
  6. 管理費滞納者に対する対応が遅い
  7. 折り返しの電話がなかなか返ってこない
  8. メールの返信が遅い

1. 問合せした内容に対する回答が返ってこない

例えば「駐車場を借りたいんだけど、どの区画が空いているの?」や「ペットを飼いたいんだけど、届出は必要なの?」といったような問合せをした場合、その返答をもらうのに何日もかかる場合があるようです。

難しい質問ならともかく、簡単な内容ならすぐに回答してもらいたいですよね。

2. 理事会の議事録案の提出が遅い

理事会の議事録は、通常は管理会社が作成します。

理事会の翌日には草案があるのが理想ですが、1週間以上経ってから提出されるケースも多いようです。

1週間も経ってしまうと、どんな議論がなされたかの記憶があいまいになってしまうこともあるでしょう。
遅くとも3日以内には提出して欲しいところですね。

3. 理事会からの依頼事項に対する対応が遅い

例えば、管理組合内のコミュニティ形成を目的としたイベントの開催を検討する場合、どんなイベントが自分たちのマンションに向いているのか、費用はどのくらいかかるのか、役員たちの負担はどの程度なのかを管理会社に提案してもらうようお願いすることがあります。

依頼してから何か月も経ってからようやく提案があり、もう夏まつりの時期はとっくに終わっていますよね、というような話も珍しくないようです。

4. 共用部の不具合に対する対応が遅い

機械式駐車場やエレベーターやエントランスの自動ドアなど、不具合があるとすぐに生活に支障をきたす設備の場合は、迅速な対応が求められます。

しかし、管理会社がなかなか対応してくれず、その間自動車の出し入れが出来なかったり、エレベーターが使えなかったりで、非常に困ったという例もあるようです。

もちろん、修理に必要な部品が特殊なため対応に時間がかかる、ということなら仕方ありません。
しかし中には管理会社が対応業者に連絡すらしていなかった、というケースもあるようです。

5. 漏水事故に対する対応が遅い

マンションが古くなってくると、給排水管の不具合により、漏水事故が発生することがあります。
特に多いのが、給湯管の経年劣化によりピンホールと呼ばれる小さな穴が空いてしまう現象です。

漏水事故が起こると特に被害住戸である下の階の住民の方は大変です。

家具や家電がダメになってしまうこともありますし、修繕されるまで住んでいられない場合もあります。
そのため、特に迅速な対応が求められる事故ということになります。

しかし、残念ながら対応が遅いケースも多いようです。

今まさに上の階からポタポタと水が漏れてきていて、すぐに見に来てほしいのになかなか来てくれない。来てくれて応急処置はしていったものの、その後の連絡が全然なく、どういう状況か分からず不安になった、といった例もあるようです。

関連記事:マンションの管理組合でよくあるトラブルとは?その解決法も解説

6. 管理費滞納者に対する対応が遅い

管理費の滞納者に対する督促業務も通常は管理会社が行います。(「最初の支払い期限から起算して○月の間まで」と契約で取り決めているケースが一般的です)

督促業務はのらりくらりとやっていると、払ってもらえるものも貰えなくなる場合があります。
また、ちゃんと支払っている他の区分所有者の方たちに対して示しがつかなくなりますので、未納が確認されたら速やかに対応する方が好ましいです。

しかし、管理会社によっては滞納者に対する行動が遅い会社があるのも実態です。

滞納という被害を受けている側からしてみれば、一刻も早く解決してもらいたい問題。

管理会社の対応が適切でなく、問題が悪化してしまう可能性もあるでしょう。

7. 折り返しの電話がなかなか返ってこない

これはあらゆるコミュニケーションに関連しますが「担当者が外出しているので、折り返します」と言われたきり、待てど暮らせど電話がかかってこないということも多いようです。

もちろん他の仕事が忙しかったり、休暇中だったり、という場面もあるため、すぐに折り返しの電話がないのは仕方ありません。

しかし中には1週間たってもかかってこないケースもあるようです。

8. メールの返信が遅い

ビジネスメールは一般的に24時間以内の返信が望ましいと言われています。

あまりにも返信がないと、相手にちゃんと届いているのか、相手がちゃんとメールを見てくれているか不安になる方も多いようです。

対応の遅い管理会社の解決方法

管理会社の対応が遅い場合の、対処方法として考えられるのは以下の3つです。

  • 担当者に改善を要求する
  • 担当者の上司に会社としての改善を要求する
  • 管理会社を変更する

担当者に改善を要求する

まずは対応の遅い担当者に改善を要求してみましょう。

意外とこの要求だけで改善される場合もあります。

管理会社の担当者は、通常10~20位のマンションを担当しています。
仮に管理会社の月間の勤務時間数が180時間くらいだとしましょう。

そこで15のマンションを担当していたとすると、1マンションあたりに対応できる時間数は180時間÷15=12時間しかありません。
社内の会議やら打ち合わせやら移動時間などもありますから、実際はもっと少ないでしょう。

よってそもそも迅速に対応できる体制ではないというのが前提なのです。

自分のマンションの対応になるべく多くの時間を割いてもらうためには、改善して欲しいということをはっきりと伝えることが有効です。

担当者によっては「このマンションの人たちは要求度合いが高いからきちんと対応しないと」と緊張感を持って対応してくれるようになることもあります。

担当者の上司に会社としての改善を要求する

担当者に要求しても改善が見られない場合は、上司に対して改善を要求しましょう。
対応を担当者任せにせず、上司も一緒に見てくれるようになったり、状況によっては担当者を変更してくれたりする場合もあります。

しかし、昨今はどこもかしこも管理会社は人手不足が大きな課題になっています。
対応の悪い担当者を変更したくとも、代わりがいない、というケースもあるかも知れません。

管理会社を変更する

これは最後の手段ですね。
担当者に言っても改善が見られず、上司に申し入れても改善されない、という場合は管理会社の変更を検討するしかありません。

「管理会社を変更しても、対応の遅さは変わらなかった」という結果にならないよう、新しい管理会社の候補となる会社には、きちんと「今の管理会社の対応の遅さに不満があり、迅速な対応ができる会社に委託をしたい」ということを伝えるようにしましょう。

また、管理会社の選定にあたって、担当者が一人あたりどのくらいのマンションを担当しているのか、上司を含め組織的に対応できる体制が出来ていそうか、などをヒアリングすると良いでしょう。

関連記事:【管理組合役員は必見】管理会社の変更手順とその注意点

管理会社の変更手順

管理会社を変更する場合の手順について説明します。

ステップ1. 現在の管理会社の問題点を整理

理事会が中心になり、管理会社の問題点を明確にして整理していきましょう。

もしかしたら対応が遅いという以外にも問題点が浮かび上がってくるかもしれません。

現在のメンバーだけでなく、過去に役員をやった方などの声も重視しましょう。
また、可能であれば全管理組合員にアンケートを実施することも有効です。

「管理会社の対応が遅い」ということをきっかけに管理会社の変更を検討する場合、最終的には以下の2つの意見に分かれることがあります。

A:管理会社の対応が早くなるなら、今よりも管理費が高くなっても構わない
B:管理費をあげないといけなくなるなら、今の管理会社のままでも良い

できれば今までと同じ金額で対応が早くなれば良いのですが、そうならない場合、管理組合員の方たちがどのような意見を持っているかを確認しておいた方が良いでしょう。

管理会社を変更する場合は、最終的には総会決議が必要になります。
一般的なマンションの場合、全組合員の同意が過半数分ないと管理会社の変更ができません。

こういった点があり、管理組合の総意を把握しておくことはとても重要なことと言えるのです。

アンケート実施時の注意点

アンケートの実施に際して注意点があります。

役員を経験したことのない方から、下記のようなズレた回答が出されることがあります。
その場合は切り捨ててしまって構わないでしょう。

回答例対応理由
高い管理費を払っているのに部屋内の不具合に無償で対応してくれなかったから、管理会社を変えた方がいい切り捨ててしまっていい管理会社の対応というよりも管理組合との契約に基づく対応であり、評価項目ではないため
ペットを飼いたいのにダメだと言われたから変えた方がいい切り捨ててしまっていい管理会社の対応ではなく、管理規約の話であるため

また「担当者には不満があるけど、管理員さんは良くやってくれているので変えたくない」という意見が出ることがあります。

これに関しては新旧管理会社、当該管理員、管理組合の間による協議により、該当管理員の雇用をそのまま新しい管理会社に引き継いでもらうことが可能な場合があります。

各管理会社へ話を通してみると良いでしょう。

理事会内の意見やアンケートの結果、現在の管理会社に不満を持っている方が多いようであれば、実際に管理会社の選定へ進みましょう。

ステップ2. 管理会社の選定と見積もり依頼

複数の管理会社を選定し、各社へ見積もりを依頼します。
一般的には、3~5社に見積もりを依頼するケースが多いです。

見積もり条件を各社統一させるためにも、現在の管理会社との間で締結している管理委託契約書に基づく内容で依頼をしましょう。

見積もりを作成するにあたり、管理会社からは以下のような書類の提出を求められます。

  • 現管理会社との管理委託契約書
  • 現管理会社との重要事項説明書
  • 直近の総会資料
  • 各業務の直近の業務完了報告書
  • マンションの図面

管理会社によって求められるものは多少変化します。
これらの書類すべてを用意するのが大変な場合もあるでしょう。

しかし他社の見積もりを取得することは、現在の管理会社が高いのか安いのかの判断につながります。

管理組合の取り組みとしてはとても重要な行動なのです。

面倒に感じても役員メンバー同士で協力しあって対応することをおすすめします。

また、マンションの現状を把握するためには現地調査が必要です。
そのために各社に対して現地調査の日程調整が必要となることも考慮しておいた方がいいでしょう。

ステップ3. 見積もり金額と提案内容の比較検討

各社から取り寄せた見積もり金額と提案内容を理事会で比較検討します。

複数社に見積もり依頼を行った場合、2~3社程度金額の安い順に管理会社を絞りこみ、選考した管理会社に対してプレゼンテーション(説明)を依頼するのが良いでしょう。

この段階でも「迅速な対応ができる管理会社を重視したい」という考えが管理組合の総意として強いようでしたら、この点も重視して選定を進めましょう。

ステップ4. 管理会社のプレゼンテーションを開催

理事会の中で、選定した管理会社がプレゼンテーションする場を設けます。

理事会だけではなく、場合によっては管理組合員向けのプレゼンテーションも別日で開催することがあります。

その後、参加された方の意見をアンケートなどで集約しましょう。
集約した意見を参考に、理事会で推薦する管理会社を1社選考します。

プレゼンテーションにはマンション管理会社の営業担当者だけでなく、もし管理をお願いすることが決定した場合に実際の担当者になる人にも出席してもらうように頼んでみましょう。

管理運営に対する意気込みや人柄を知るいい機会になります。

ステップ5. 管理会社変更の理事会決議

管理会社を変更することについてだいたい理事会内での合意がなされたら、理事会決議という正式な手続きをとっておきましょう。

理事の方々の多数決で決定し、議事録にも記載しておくことがおすすめです。

関連記事:【無料ひな形あり】マンション総会における議事録の書き方とは?議事録の基本情報や作成方法を簡単に解説!

ステップ6. 管理組合員に対する事前説明会の開催

理事会決議後、状況によっては管理組合員に対して事前説明会を行う場合もあります。
事前のアンケート結果から、新しい管理会社の変更に対して意見がかなり割れている場合は開催した方が良いでしょう。

そもそもなぜ管理会社の変更を検討する必要があるのか、理事会がどのように検討を進めてきたのか、なぜこの管理会社がベストだと判断するに至ったのか、などを丁寧に説明した方が、後の総会で賛同を得られやすくなります。

関連記事:マンション総会へ出ない人が多い?出席率が低くて困っている役員にできること

ステップ7. 管理会社変更の総会準備

総会には通常総会と臨時総会の2種類があります。
どちらを選択するかは管理組合の判断次第です。

総会メリット
通常総会毎年行われる総会の議案の一つに管理会社変更議案を追加するだけで済み、総会開催の手間が軽減される
臨時総会早く新体制に移行できる

通常総会を待っていると、それだけタイムロスが生じてしまいます。
臨時総会の方がスピーディーに対応できるというわけです。

ステップ8. 開催日時の決定と総会議案書の作成

通常総会にするか臨時総会にするかを決めたあとは、具体的な総会開催日を決定し、総会議案書を作成しましょう。

総会議案書を全組合員に配布し、出欠票の回収と集計を行います。
議案書の作成は、本来であれば現行のマンション管理会社がサポートを頼みますが「他のマンション管理会社に変更しようとしている手前、なんだか頼みにくいな」と思うこともあるでしょう。

そのときは新しい管理会社に相談してみるのも一つの手です。
そうすることで、今後お付き合いしていくマンション管理会社の対応やサポート体制を実際に確認することもできます。

なお、管理会社の変更を行う場合は普通決議(過半数の賛成)で十分です。
総会が成立するための定足数は、各マンションの管理規約に規定されていますので、事前に確認しておきましょう。

ステップ9. 管理会社変更の総会審議

管理会社の変更および、新しい管理会社との管理委託契約締結の議案を総会で審議にかけます。

ここで、事前に説明会を行ったことの効果が効いてきます。

多少の反対意見が出ることもありますが、たいていはスムーズに賛成多数で可決されることでしょう。
総会が炎上してしまう事態はほぼ確実に避けられます。

関連記事:マンション管理費値上げ時の総会決議の進め方や反対されないためのポイントを解説

ステップ10. 現在の管理会社の管理委託契約を解約

管理会社の変更を行うには、現在の管理会社との管理委託契約を解消しなければなりません。
総会承認後、現行管理会社に対して解約通知を申し入れます。

国土交通省が公表している「マンション標準管理規約契約書」に準じて現行の契約書がきちんと作成されているかを確認しましょう。

特段の取り決めがない限り、3か月の猶予期間を付けて解約通告すれば、解約の申し入れは完了です。

通告の申し入れから3カ月以降が解約日となります。

ステップ11. 新管理会社と管理委託契約を締結

新管理会社と管理委託契約を締結します。
管理委託契約書の内容に間違いがないか、再度確認をしましょう。

ステップ12. 新管理会社への管理引継ぎ

現行の管理会社に預けている管理組合の書類関係、通帳、印鑑、共用部のカギ、備品など、管理運営上必要になるものを新しい管理会社へ引き渡します。

引き継ぎは、マンション管理会社同士で行うことがほとんどです。
しかし、引き継ぎに漏れがないようにするために、引き継ぎの進捗状況を理事会などで両社から報告してもらうといいですね。

管理費などの引き落とし日や口座振替システムが管理会社ごとに異なる場合が多いです。
そのため、管理会社変更にあたって区分所有者は預金口座振替依頼書の記入や提出が必要なケースもあります。

管理会社を変更する際の注意点

マンションに住んでいる方は年代や職業、家族構成などバラバラで、それぞれ考えも異なります。

管理費の値上げは絶対反対!と考える方や、管理費の値上げはいいけど、役員が回ってこないようにしてほしい!と考える方など、人によって重要視するところはさまざまでしょう。

前者の意見を尊重するならば、安い管理費を売りにしている会社に相談すべきですし、後者を尊重するなら第三者管理方式(※)が可能な管理会社に相談すべき、ということになります。

※第三者管理方式についてはこちらのコラムでも詳しく紹介しています。

関連記事:新しいマンション管理の選択肢!第三者管理方式の導入メリットとデメリット

どっちが正しくてどっちが誤り、というものはありません。
そういった議論は避け、管理組合の総意を確認しましょう。

管理組合における意思の決定は多数決で行われます。

「管理組合のメンバーの多くがこう考えている」

これが管理組合としての総意です。

管理組合としての考え方がまとまったら、具体的に管理会社へ相談を始めていきましょう。
管理会社選びの参考となるマンションの管理戸数のランキングについてはインターネット上で情報が取れるので、確認してみるのもいいですね。

また、自分たちで直接マンション管理会社に問い合せをする以外に、第三者(コンサルタントと呼ばれています)に相談することも可能です。

コンサルタントに管理会社への問い合わせを頼むときの注意点

管理会社変更のサポートをしてくれるコンサルタントの中には「管理費削減」や「管理費見直し」などのキーワードを強調するところがあります。

こういったコンサルは管理組合からの手数料以外に、変更後の管理会社からも手数料(キックバック)を収受している可能性があることも知っておくとよいでしょう。

こういった場合、管理組合にとって最適と思われる管理会社よりも、そのコンサルタントにとって都合のいい管理会社を紹介されてしまうリスクがついてきます。

もちろん、すべてのコンサルタントがキックバックを受け取っているわけではないと思いますが、こういった例も実際にあるためご注意ください。

まとめ

今回は管理会社の対応が遅い場合の対処法や、管理会社の変更手順などについて解説しました。

管理会社に迅速な対応をしてもらうためには、適度な緊張感を持って対応してもらうことが重要です。(過度な緊張感を与えてしまうとカスタマーハラスメントになってしまうかもしれないため注意しましょう)

そのためにはしっかりと自分たちの要望を伝えていくことが大切です。

また、それでも対応に改善が見られない場合は管理会社の変更を検討するしかないでしょう。

弊社はマンション管理支援アプリ「クラセル」を提供する会社ですが、管理会社がクラセルを活用して効率的に総合管理を行う「管理会社方式」のご提案も可能です。

管理会社の変更を検討される場合は、ぜひ弊社にもお問い合わせください。
なお、弊社は先ほど例にあげたようなキックバックの収受は一切行っていませんのでご安心ください。

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