【無料ひな形あり】マンション総会における議事録の書き方とは?議事録の基本情報や作成方法を簡単に解説!

マンション管理組合の総会における議事録は、区分所有法により総会の議長である理事長が作成することが義務付けられています。(区分所有法第42条)

総会の議事録は、管理会社へ委託しているマンションの場合は管理会社の担当者が草案を作成し、理事長が確認・修正をするといった方法で作成されます。
管理会社任せにせず、しっかりと確認を行うことは理事長の義務です。

一方、自主管理をされているマンションの方は自分たちで議事録を作成しなければなりません。

今回は総会議事録の書き方や、注意点などを解説していきます。

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そもそも議事録とは?

議事録は、会議や打ち合わせで話し合われた内容や取り決めを記録した文書です。
会議の参加者や関係者間で共有するために作成されます。

議事録を作成する目的は次のとおりです。

  • 会議で議論された内容や取り決めを忘れないようにする
  • 会議の参加者や関係者間で共有する
  • 決定事項や業務の変更・改善すべき事項を明確にする
  • 参加者間の認識違いや把握漏れを防止する

議事録は単に会話内容を羅列するのではなく、5W1Hを意識して情報を整理しながら作成する必要があります。

議事録の作成は区分所有者法で義務付けられている

冒頭でも少し触れましたが、総会の議事録は区分所有法で義務付けられています。

(議事録)
第四十二条 集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名しなければならない。
4 第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名に代わる措置を執らなければならない。
5 第三十三条の規定は、議事録について準用する。

区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)

区分所有法では「総会」という言葉はありません。
代わりに「集会」と呼ばれており、上記の通り議長(通常は理事長)に議事録の作成義務があります。

また、議事の経過の要領や結果を記載することや、議長以外に総会に出席した区分所有者の二人が署名することなどが義務付けられているため注意が必要です。

ちなみにこの区分所有法、違反すると罰則があります。

第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
~中略~
三 第四十二条第一項から第四項まで(これらの規定を第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、議事録を作成せず、又は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。

管理組合の役員の方は議事録の重みを理解しておく必要があるのです。

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議事録の記載内容:議事の経過の要領とその結果の記載が必要

議事録では、議事の経過の要領とその結果を記載、または記録する必要があります。

議案の経過とは、議題や議案に関する討議の内容と採決方法のことで、それらの要点を議事録へ記載します。

議事の結果とは、採決を行った結果のことです。

つまり、総会でその議案が賛成多数で可決されたのか、否決されたのかです。

議事録の作成期限

議事録の作成期限は、区分所有法や標準管理規約には記載がありません。

しかし、議事録はこれを保管し、利害関係人の閲覧に供さなくてはなりません。
また、あまり時間をかけると出席された区分所有者の方の記憶も薄れてしまいます。

そのため、2週間を目途にできるだけ速やかに作成すべきでしょう。

なお管理組合法人の場合、その設立や変更の登記は集会の議事録を添付して、主たる事務所の所在地において2週間以内にしなくてはならないとされています。

ここでいう「変更の登記」というのは管理組合の役員の変更が含まれます。
仮に、昨年度と同じ方が役員を継続して行うことになった場合でも、「重任」という形で登記申請が必要です。

つまり、法人化されている管理組合が役員の選解任、または重任を決議した総会の場合は、遅くとも2週間以内には議事録を完成させておく必要があるため注意が必要です。

議事録の保管方法・期間について

議事録は管理者(通常はマンションの理事長)が保管します。(区分所有法33条及び42条)

規約の保管場所は建物内の見やすい場所に掲示する必要があります。
標準管理規約において理事長は、所定の掲示場所に議事録の保管場所を掲示しなければならないとされています。

保管期間については、区分所有法や標準管理規約に規定はありません。
総会決議の無効を主張する期間にも制限がないことなどから、保管期間を定めずに永久保存しておくのが望ましいでしょう。

また、管理者が総会の議事録を保管しない場合も罰則(20万円以下の過料)があるため十分注意しましょう。

議事録閲覧請求への対応は?

議事録を保管する者は利害関係人の請求があった場合、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒むことができません。(区分所有法33条及び42条)

一方、標準管理規約においては「理事長は議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない」とされています。

この場合において閲覧につき、相当の日時や場所などを指定することができるとされています。

なお「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者などをいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者などは対象ではありません。

管理者が正当な理由もないのに総会の議事録の閲覧を拒んだ場合も罰則(20万円以下の過料)に処せられます。

議事録に関する義務違反に対する罰則

総会議事録に関しての罰則規定をまとめると以下の通りです。

  • 書面若しくは電磁的記録で保管をしなかった場合
  • 当な理由がないのに、利害関係者からの閲覧請求を拒んだ場合
  • 議事録を作成しなかった場合
  • 事録に記録すべき事項を記載しなかった場合
  • 議事録に虚偽の記載をした場合

全て20万円以下の過料です。

議事録の書き方をステップで解説

【ステップ1】管理会社がまずは草案を作成

まず、管理会社の担当者が議事録の草案を作成してくれます。

管理組合の自主性が強い場合や迅速に作成したい場合、管理会社に依頼せず理事会の書記が議事録案を作成することも可能です。

一方、自主管理のマンションの場合は管理会社がいないため、草案作成の段階から自分たちで対応することになります。
最近では総会だけ支援をしてくれるマンション管理士さんなどもいらっしゃるため、その場合はマンション管理士さんが対応してくれるかもしれません。

【ステップ2】理事長による加筆・修正

管理会社から提出された草案をもとに、議長が加筆・修正を行っていきます。

管理会社によっては記述の正確性に欠けたり不備が見られたりする場合もあるため、議長自らが記載漏れや、事実と異なる記載がないか確認しましょう。

そして、総会で話し合われた内容をもとに最終版の議事録の作成。
最後に、議長と議事録署名人2名の計3名が署名および押印をします。

議事録はマンション内に配布するとともに、外部に居住する管理組合員にも郵送しましょう。

総会議事録のサンプル

一般的な総会議事録は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【記入項目】
・開催日時と場所
・組合員総数
・出席組合員数
・出席議決権数
(本人出席数、委任状による代理人出席数、議決権行使書面数)
・議長(理事長)の選任と開会宣言
・議案
(議案についての簡単な説明と採決の結果)
・議長(理事長)の閉会宣言と閉会時刻
・議長(理事長)と議事録署名人2名の署名・押印

【記入例】
○○年○月○日(○)午前○時○分より、○○において、○○期定期総会を開催した。
 組合員数○○名
 議決権総数○○個
 出席議決権数○○個(委任状出席を含む)

管理組合規則第○○条に定める総会成立要件を満たし、理事長○○○○が議長として選出され審議に入った。

第1号議案 ○○○○に関する件
議長は………につき説明し、満場一致で可決した。

第2号議案 ○○○○に関する件
議長は………につき説明し、満場一致で可決した。

議長は、以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前○時○分閉会を宣言した。

以上、上記議事を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び出席者が次に署名捺印する。

○○年○月○日
○○年度定期総会
 議 長 (署名・押印)
 出席者 (署名・押印)
 出席者 (署名・押印)

議案を記載するところに、そこであがった質疑応答を要約して記載しておくと、総会に出席していなかった方も雰囲気が分かって良いかもしれませんね。

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事前に知っておきたい総会議事録5つの予備知識

総会議事録を作成するにあたって、いくつかの予備知識を念頭に置いておくとよりスムーズな作成が可能です。
この章では5つ紹介しています。

議事録は配布する前提で作成する

質疑応答内容の記録については区分所有法や管理規約による定めは特にありません。

とはいえ、総会に出席されない方もたくさんいらっしゃるため、その方たちが見てもやり取りが分かるように質疑応答は記載しておいた方が良いでしょう。

だからといって総会で行われたすべての質疑応答を一言一句漏れなく議事録に書き記していると文字数が増えて読みづらくなってしまいます。
不要な箇所は省略して読みやすさを重視しても問題はありません。

ただし、採決に影響を及ぼす重要な質疑応答の部分については、後々確認ができるようにしっかりと議事録に記しておきましょう。

完成した議事録は、各区分所有者の元へコピーの配布を行うことが一般的です。
そのため議事録を作成する時には、個人情報の記載や個人が特定できる書き方をしないよう、さまざまな人に配ることを前提に作成しましょう。

議論内容は録音しておくと良い

総会で賛成多数で決議された内容であっても、後から不平不満が出されることも中にはあるようです。

後になって「言った、言わない」で揉めるようなトラブルを回避するためにも、総会の議論はレコーダーなどを使って録音するのがおすすめです。

また、録音する際には、必ず総会の冒頭に録音することを参加者に伝えましょう。

関連記事:マンションの管理組合でよくあるトラブルとは?その解決法も解説

不正な議事録は罰則を受ける可能性も

議事録を作成する仕事は、人によっては面倒に感じる人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、面倒だからといって議事録をいい加減に作成するのはとても危険です。

区分所有法では議事録の作成を怠った場合や、虚偽の記載をした場合には20万円以下の過料に処されることが定められています。
たとえ面倒に感じても、気を引き締めて取り組みましょう。

議事録は迅速に作成する

総会の議事録作成で最も大切なことは正確性です。

そのために何よりも重要なことは総会終了後、記憶が鮮明なうちに迅速に下書きを作成することです。

一般的には管理会社の担当者が草案を作成します。
その場合、作成後の確認・訂正や、署名にも時間がかかる可能性も考慮して、草案は3日以内を目処に作成してもらうよう依頼をしましょう。

また、議事録のコピーの配布が遅くなると、理事会の活動に対する他の区分所有者からの不信感などにつながります。
法人化されている管理組合の場合は、2週間以内に議事録を添付したうえで役員選解任の登記手続きを行うことが必要であるため、期限を意識しながらの完成・配布を目指しましょう。

関連記事:マンション管理の法人化とは?メリット・デメリットや法人化の方法などを徹底解説!

体裁は揃えておく

議事録は、マンション毎の様式(テンプレート)を事前に定めることで統一感のある見やすい議事録になります。
そのため「記載事項」やフォント(明朝・ゴシック)や文字サイズの統一を行っておくことがおすすめです。

管理会社の担当者が議事録の草案の作成を行う場合には、担当者の交代の都度、議事録の様式が変わることがあります。

この場合には、以前の様式に従うように指示をしておいた方がスムーズでしょう。

まとめ

今回は管理組合における総会の議事録に関するお話でした。

議事録については対応に不備があると罰則を受ける可能性があるため、気を配る必要があります。

総会は管理組合の最高意思決定機関です。

総会議事録が、誤解を招くようなあいまいな書きぶりになっていると、総会で決定した事項が正しく取り進められなくなったり、後々トラブルを引き起こしたりする可能性もあります。
そのため正確かつ分かりやすい表現で作成する必要があります。

管理会社に委託しているマンションの方も自主管理のマンションの方も本コラムを参考に議事録をチェックしてみてください。

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