マンションの耐用年数は何年?耐用年数の延ばし方や減価償却との関係を解説!
「マンションって一体何年くらいもつの? いつまで住んでいられるの?」
マンションにお住まいの方や、これから購入を検討されている方ならこのような疑問を持たれたことがあるのではないでしょうか。
今回はマンションの耐用年数や、マンションを少しでも長持ちさせる方法などについて解説していきます。
INDEX
マンションの耐用年数とは
マンションの耐用年数とは、マンションがどのくらいの期間使用できるのかを示す年数のことです。
マンションの耐用年数には「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」という3つの考え方があります。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、会計上、減価償却費を計上できる期間のこと。
鉄筋コンクリート造、または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の場合は47年とされています。
あくまでも会計上の考え方のため、実際にマンションが何年もつのか、という基準にはならないかもしれません。
しかし、唯一明確な年数基準を定めているもののため、この47年という年数を耐用年数の目安とされる方も多くいらっしゃいます。
物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、物理的に建物が利用できる期間のことです。
近年は建築技術が発展したため、鉄筋コンクリート造の建物であれば耐用年数が100年を超えるともいわれています。
しかし、50年前に建てられたマンションは現代よりも建築技術が低かったため、もう少し早く限界を迎えてしまうかもしれません。
経済的耐用年数
建物に経済的な価値が残っている年数を、経済的耐用年数と呼びます。
経済的耐用年数を過ぎたマンションの取引の中心は、ほとんどが土地価格です。
マンションの経済的耐用年数は、一般的に40〜50年程度。
築50年超えのマンションに建物の残存価格は残っていないと考えられます。
そのため、ほぼ土地価格のみで取り引きされることになるのです。
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マンションの減価償却とは?
マンションの減価償却とは、マンションを保有する固定資産を経費として計上できる費用のこと。
賃貸収入を得ている方や、マンションを売却した方が確定申告をする際に必要なものです。
減価償却の対象は経年により価値が下がります。
そのため、マンション本体については減価償却の対象となりますが、土地は対象外です。
あくまで会計上の仕組みなので、マンションをご自宅として使用している場合はあまり関係ありません。
耐用年数との関係は?
法定耐用年数は、税法上においてマンションの価値が0になるまでの年数のことです。
減価償却を計算するときに使用します。
鉄筋コンクリート造のマンションの場合、耐用年数は47年と定められています。
この法定耐用年数を過ぎると、税務上の資産価値は0になります。
耐用年数を過ぎたマンションはどうなる?
法定耐用年数を過ぎると、その建物の税務上の資産価値はなくなります。
しかし、法定耐用年数を超えたからといって、なにか問題が生じるわけではありません。
ただ、部屋を売却する際に影響が出る可能性があります。
一般的に、金融機関で住宅ローンが組めるのは、最長で法定耐用年数までです。
マンションの法定耐用年数は47年なので、築30年のマンションを購入する方が住宅ローンを組めるのは、最長でも17年ということになります。
築浅のマンションと比べると購入者が限定的になる可能性があり、買い手がつきづらくなるかもしれません。
また、賃貸収入を得る目的でマンションの購入を検討している方にとっては、減価償却費が経費計上できるのがメリットの一つになります。
法定耐用年数の残存期間が短いと、経費計上できる期間が短くなり、購入を見送られてしまうかもしれません。
なお、法定耐用年数は、あくまで税法上の減価償却の計算に用いる基準。
法定耐用年数を超えたからといってマンションに住めなくなるわけではありません。
法的耐用年数と、物理的なマンションの寿命は全く異なり、多くのマンションでは法的耐用年数を越えても住み続けることが可能です。
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マンションの平均寿命は?
「マンションって一体何年持つの?」
そのような疑問を持たれる方も多いと思いますが、現時点ではしっかりと根拠のあるデータは存在しません。
国土交通省が公表しているマンション建て替えの実施状況(2022年4月1日時点)によると「建て替えの準備中」「建て替え中」「工事完了済み」のマンションの合計は270件です。
これらのマンションすべてが、寿命を迎えたうえでの建て替えなのかは定かではありません。
また、すでに建て替えを実施したマンションが建築された当時と現代では、建築技術のレベルや耐震基準も大きく異なるため、あまり参考にならないのが現実です。
一般的には、きちんとメンテナンスや修繕工事をしていればマンションは100年もつと言われています。
しかし、データに基づいた見解を示せるようになるのはもう少し先になってからのことでしょう。
マンションの寿命を決めるポイントとは
マンションの寿命を左右する要素は大きく分けて以下の4点です。
- 耐震基準
- メンテナンス
- コンクリートの強度
- 立地条件
一つずつ確認していきましょう。
耐震基準
1981年に制定された「新耐震基準」では、震度6強から7程度まで倒壊しないようにと定められました。
しかし、新耐震基準以前に建築されていた建物は「旧耐震基準」に準拠しています。
旧耐震基準では震度5強程度の揺れに耐えうることが基準です。
地震大国である我が国においては震度5強の地震の発生は割と珍しくありません。
耐震ギリギリの揺れを何度も経験していれば、いくら頑丈な建物であっても負担が積み重なり、寿命に影響します。
よって、旧耐震か新耐震かでマンションの寿命は大きく変わるといえるのです。
メンテナンス
マンションの寿命は、定期的なメンテナンスの仕方によって大きく変わってきます。
12年~15年ごとに行う大規模修繕工事において必要な修繕を行えていれば問題ありませんが、修繕積立金が不足していると、満足のいく工事ができないケースがあります。
修繕積立金が足りない(=適切な修繕ができていない)マンションでは、少しずつ老朽化が進み、本来の年数よりも早く寿命を迎えてしまう可能性が考えられるでしょう。
コンクリートの強度
マンションの寿命は、物件の外壁に使われるコンクリートの強度によっても変動します。
使用されている建材が長持ちするものであれば、その分寿命も長くなるのが特徴です。
マンションの場合だと、特にコンクリートの質が寿命に大きく影響します。
マンションではセメントに対して水の比率が低いものを使用しており、鉄筋を包むコンクリートの厚みがある場合は、ひび割れが起きにくく、鉄筋がさびにくくなります。
進化を続けるコンクリートの技術において、昔使用されていたものと、今使用されているものとでは、質が大きく変わっているでしょう。
そのため、一般的には築年数の古いマンションほど寿命は短いと言われています。
立地条件
マンションの寿命は、物件の立地条件にも左右されます。
たとえば、海に近いと塩害の恐れがあるでしょう。
塩害とは、塩分によって引き起こされる植物の枯死や鉄筋などの腐敗のこと。
潮風が届くような範囲にあるマンションは、塩分を含んだ風に長期間さらされることで配管が腐食してしまう恐れがあります。
そのため、マンションの寿命が短くなってしまうかもしれません。
マンションの寿命が過ぎたらどうする?
寿命を迎えてしまったマンションが取るべき選択肢は大きく下記の2つに分けられます。
- 建て替え
- 敷地売却
建て替え
理想的な選択肢はこのマンションの建て替えです。
ただし、建て替えをするためには費用負担の問題や、区分所有者の5分の4以上の賛成が必要など、合意形成の難しさがあります。
敷地売却
敷地売却は「マンション自体もう限界を迎えているが、建て替えの合意形成ができなかった場合」に取られる選択肢です。
解体費用が相当かかるため、各区分所有者の手元に残るお金はあまり多くはありません。
なお、敷地売却の場合も5分の4以上の賛成が必要です。
高齢者の割合が多く、引っ越しが大きな負担と感じる方が多いマンションの場合は、敷地売却の合意形成が難しい場合も多いようです。
建て替えも敷地売却もなかなか合意形成が進まないというパターンが多くみられます。
寿命を迎えたマンションは、大きな地震がきた場合などに非常に危ない存在となるでしょう。
そのため、建て替えや敷地売却の合意形成が進まず、なにもできず放置しておくことは居住者だけでなく、周囲にとっても大変危険です。
なんとかして建て替えか敷地売却の合意形成を得られるよう働きかけ続けるしかありません。
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マンションの寿命を少しでも伸ばす方法
マンションを少しでも長持ちさせるには、適切な修繕を適切な時期に行い続けるしかありません。
「適切な修繕を適切な時期に行う」ためには修繕積立金が必要なのは当然です。
しかし、近年は修繕積立金の不足により修繕が難しくなっているマンションも多く存在します。
「必要な修繕はしたいけど、資金が足りないからできない……」というのが、多くのマンションで問題提起されているのです。
こうなってしまわないためにも、長期修繕計画を見直してみることをおすすめします。
その結果次第で修繕積立金の値上げも検討するとよいでしょう。
マンションをできる限り長持ちさせるためには、適切な修繕が必要で、その修繕のためには見合った費用を準備しておかなければなりません。
修繕費用として使用する修繕積立金が不足しないよう、手遅れになる前にしっかりと確認と準備をしておきましょう。
マンションがまださほど古くないうちから手を打っておくことが重要です。
修繕積立金の不足や相場に関して、より詳しい情報を知りたいという方は、下記の記事も一緒にご覧ください。
関連記事:マンションの修繕積立金、相場はいくら?そもそも必要なの?あらゆる疑問を解消!
まとめ
お住まいのマンションがいったい何年先までもつのかは、はっきりとしたことは誰にも分からないかもしれません。しかし、1年でも長持ちさせるためにやるべきことははっきりしています。
しっかりと、修繕積立金を確保しておくことです。
修繕積立金が少しでも多く残っていれば、いずれ迎える建て替えの際の費用の一部に充当したり、敷地売却の際の解体費用の一部に充当したりすることもできます。
- 修繕積立金をしっかり確保するために行うべきことは以下の通りです。
- 長期修繕計画や修繕積立金について、まずは現状を確認する
- 修繕積立金の値上げを回避、または値上げ幅を抑制するために管理費会計のコスト削減を検討する
- 今後発生する工事は、すべてセカンドオピニオンを取ることを理事会内のルールにする
- 修繕積立金の値上げが必要と思われる場合、問題を先送りせず、少額でも良いので値上げに踏み切る(総会に議案上程する)。
また、管理費会計の見直しを行い、浮いたお金を修繕積立金に回すという選択肢も非常に有効です。
- 清掃や点検の実施頻度を削減できないか確認する
- 管理会社を通して発注している業務を業者さんへの直接発注に変え、中間マージンをカットし、費用削減する
- 安価な管理会社に変更する
- 管理業務の一部を自主管理に切り替えコスト削減を図る
などの手法が考えられます。
マンションの置かれている状況によって打つべき対策の強弱は異なります。
しかし、これらはどんなマンションであっても取り組むべきテーマでしょう。
「うちのマンションはまだ大丈夫」と思わず、上記で挙げたポイントをもとに今から行動を起こすことをおすすめします。
早めに寿命を迎えてしまっているマンションは、築40年~50年くらいのものが多いといわれています。
これらのマンションは10〜20年前の段階で手を打っていれば、寿命を迎えずに今も健康的なマンションでいられた可能性が高いのです。
1年でも長くマンションをもたせるために、できることから早めに手を打っておくことが重要です。