【マンション管理組合役員向け】書類の保存期間は?各例を紹介
管理組合の運営って意外と紙ベースの書類が多いですよね。
区分所有者から出される届出書、委託先業者からの請求書や領収書、理事会議事録や決算書類など。
毎年どんどんたまっていき、ついには管理室にも保管しきれなくなり、本来物を置いてはいけないパイプスペースや、理事長の自宅に膨大な書類を保管している……。
こんなマンションも珍しくありません。
業者さんとの契約書や管理規約原本など、重要書類はともかく、その他の資料は見返すことがなさそうだから、処分しても良いのでは?
一体いつまで保存しておけば良いの?
PDFなどの電子化保存はOKなの?
このような疑問を持たれる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は管理組合の書類の保存期間について説明していきます。
INDEX
管理組合で保存している書類に保存期間はあるのか

管理組合としての文書の保存期間について、特に法令の定めはありません。
区分所有法では、管理者による規約や総会議事録などの保管を定めているものの(第33条第1項、第42条第5項、第45条第4項)、これらを含む組合書類の保存期間についての定めはないのです。
では、どの程度保存しておけばよいのでしょうか?
書類の保存期間とは
まずは重要な書類とそうでない書類に分けて考える必要があります。
管理規約原本や総会議事録などは重要書類のため、管理組合が存在する限り永久保存が原則です。
一方、たとえば設備点検報告書などについては、相当期間(賃借人が返済を行うために必要な期間のこと。一般的に2〜3日)経過後は、廃棄し得るものであると考えられます(ただし、別途修繕履歴などの記録は必要)。
管理組合の書類は、年々増える一方です。
そのため、書類の保存期間については管理規約で任意に文書保管規定などを定め、各種書類の性質に応じた保存期間を定めるなどの対応を検討するとよいでしょう。
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書類別の適した保存期間を紹介
では各書類、どのくらいの保存期間を設定すればよいのでしょう?
東京都が公開している「マンション管理ガイドブック」では次のような例を紹介しています。
管理組合内でルールを定める際の参考にしてみてください。
帳票等 | 保存期間 | 補足 | |
---|---|---|---|
会計関連 | 収支決算書及び事業報告書 | 永久 | 決算承認後 |
収支決算書及び事業報告書 | |||
監査報告書 | |||
預金通帳 | 非使用分含む | ||
什器備品台帳 | 最新分のみ | ||
現金出納帳 | 10年 | 決算承認後 | |
預金出納帳 | 10年 | ||
支出に関する請求書、領収書 | 10年 | ||
金融機関届出印(非使用分) | 5年 | 非使用後 | |
工事関連 | 計画修繕等工事請負契約書 | 永久 | |
計画修繕等工事見積書 | 契約締結分 | ||
計画修繕等工事完了届及び保証書 | |||
計画修繕等工事履歴 | |||
長期修繕計画 | 過去分含む | ||
小修繕等発注書及び請書、完了届等 | 10年 | ||
総会関連 | 総会議案書及び総会議事録 | 永久 | |
総会出席票・委任状・議決権行使書 | 10年 | ||
理事会関連 | 理事会議案書及び理事会議事録 | 永久 | |
理事会等の引き継ぎ書 | |||
建物設備管理関連 | 設計図書 | ||
建築確認通知書 | |||
建物・設備点検等契約書 | 10年 | 契約期間満了後 | |
建物・設備点検等報告書 | |||
管理費など滞納関連 | 管理費等滞納状況 | 債権回収後 | |
管理業者関連 | 滞納管理費等督促履歴 | ||
管理事務報告書(年次報告書) | 年次報告 | ||
収支状況報告書(月次報告書) | 月次報告 | ||
管理委託契約書 | 10年(契約期間満了後) | ||
重要事項説明書 | |||
関連規約問題 | 管理規約原本 | 永久 | 改訂履歴含む |
契約関連 | 各種細則原本 | ||
駐車場等の使用契約書 | 5年 | 契約期間満了ならびに債権回収後 | |
近隣等との協定書 | 永久 | ||
保険証券 | 満期分など含む | ||
名簿関連 | 組合員名簿 | 最新分のみ | |
組合員等異動届(新組合員の届出) | 5年 | 所有権異動並びに債権回収後 | |
訴訟関連 | 訴状、判決書等関連書類 | 永久 | |
売主関連 | アフターサービス基準書 | ||
売買契約書、重要事項説明書等 | |||
その他 | 誓約書 | 1年 | 本人退去後 |
専有部分修繕等工事申請書等 | 永久 |
電子保存はOKなの?
書類の電子保存はOKです。
区分所有法でも、たとえば管理規約の保管は電磁的記録による保管が認められています。
管理規約に各種書類の保管を電磁的に行うことを定めておけば、問題ありません。
電子保存の方法としては「PDF化し、管理組合専用のパソコン上に保管する」「CD-Rに保管する」などの方法を選択している組合も多いようです。
しかし、どちらの場合も紛失や誤消去などが心配でしょう。
そのような場合は、マンション管理センターが提供する「マンションみらいネット」を活用する方法や、民間の管理組合向けサービス(マンション管理組合向け業務支援システム 枢[くるる]など)の採用が考えられるでしょう。
これらのサービスであれば、当然バックアップを取ってあるため安心です。


ちなみに、弊社が提供するマンション管理アプリ「クラセル」には、書類保管を目的とした機能自体はありません。
しかし会計関連、工事関連、管理費等滞納関連などに関する書類がクラセル上に保存できる機能があります。
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興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

書類の保管は、管理組合の大事な情報資産の管理ともいえます。
いい加減な管理をしていて、大事な書類が紛失してしまった……となっては、取り返しがつきません。 適切な書類の管理を行うためのルールづくりを、ぜひ検討してみてください。