【クラセル導入を検討している方向け】クラセルを導入した場合の管理組合の銀行口座について

「クラセルは、三菱UFJ銀行しか対応していないそうだけど、定期預金はOKなの?」

「保管口座はどうなっちゃうの?」

「他銀行の口座は絶対NGなの?」

「小口現金口座は?」

「ペイオフ対策は?」

クラセルの導入に向けた検討が進んでいくと、管理組合口座の管理方法についてのご質問をいただく場合があります。
今回は、クラセルをお使いいただく場合の管理組合口座の考え方について解説していきます。

なお、今回説明するのはあくまでも「管理組合の口座」です。

管理組合員の管理費などを引き落とす個人の口座の話ではありません。(クラセルの場合、管理費引き落とし用の銀行口座は日本全国どちらの金融機関でもほぼ対応可能です)

クラセルを使う場合、基本は三菱UFJ銀行の1口座に資金を集約

クラセルを使う場合、原則、三菱UFJ銀行に管理組合口座の資金を全て集約していただきます。

口座を一つに集約することで銀行とのシステム連携に関するコストを抑え、クラセルの利用料をできるだけお安く提供することを実現しています。

また、口座が複数あると管理も複雑になり、効率的な管理運営がしにくくなってしまうというのも口座集約の理由のひとつです。

一般的な管理組合の口座管理手法は?

マンション管理適正化法(正式名称「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」)では、管理会社が管理業務を行う場合の管理組合の口座管理の方法について、以下の3つうちのいずれかでないとならないと定めています。

イ方式

マンションの区分所有者などから徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入。

毎月、修繕積立金などから収集した金銭から、その月にかかる管理事務の費用を差し引きます。

残った金額を翌月末日までに収納口座から保管口座に移し、これを保管口座で預貯金として管理します。

簡単に言えば、月ごとに収められた資金から管理費用を差し引いて残りを移し、それを保管口座で預貯金として保持する方法です。

管理費・修繕積立金など ⇒ 収納口座 ⇒ その月に必要な管理費用を支払い ⇒ 残金を保管口座へ送金

多くの管理会社はイ方式を採用しているといわれています。

イ方式の場合は、収納口座と保管口座の2種類の口座が必要になります。

全国のマンションのうち、大半は管理会社に管理業務を委託しているといわれていますので、世の中の管理組合の多くのは、口座を最低2つ以上持っているということになります。

ロ方式

まず、区分所有者から集めた修繕積立金を保管口座に入れて、そこで預貯金として管理します。同時に、管理費を収納口座に預けます。

毎月、その月にかかる管理事務の費用を差し引いた残額を、収納口座から保管口座に移します。

これを翌月末日までに行います。

管理費 ⇒ 収納口座 ⇒ その月に必要な管理費用を支払い ⇒ 残金を保管口座へ送金

修繕積立金 ⇒ 保管口座

ロ方式の場合、管理費などの徴収にかかるコストや業務量が膨らんでしまうため、採用するメリットが見出せません

ハ方式

マンションの区分所有者などから徴収された修繕積立金など金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法です。

管理費・修繕積立金など ⇒ 保管口座 ⇒ その月に必要な管理費用を支払い

マンション管理適正化法では、管理会社が保管口座の通帳と印鑑を同時に保有することを禁じています

管理会社の不正行為を防止するためです(収納口座は同時保有してもOK)。

ハ方式だと、毎月の恒常的に行われる建物管理業務費用の支払いを管理会社が単独で行えないため、とても非効率です。

なお、たまに勘違いをされている方がいらっしゃいますので念のため記載しますが、収納口座=管理費、修繕積立金=保管口座という訳ではありません

収納口座のなかにも保管口座のなかにも管理費会計のお金と修繕積立金会計のお金が混在するような形になります。

クラセルの場合は、ハ方式を採用

クラセルの場合はハ方式で運用します。

ただし、これはあくまでもクラセルの4つの方式のうち「管理会社方式」を選択した場合の話です。

「クラセル方式」「サポート方式」「クラセル第三者管理方式」の場合は、管理会社が関与しませんので、そもそもマンション管理適正化法とは無関係になります。(口座が一つであることは、どの方式であっても共通です)

関連記事:クラセルを活用した4つの管理方式を詳しく解説

よくあるご質問

では次によくあるご質問をご紹介します。

Q:クラセルの場合、定期預金は対応していますか?

A:対応しています。
既にお持ちの定期預金なら、どの金融機関の定期預金であっても問題ありません

ただし、新規開設や、定期預金の増額の場合は、三菱UFJ銀行の定期預金に限定させていただいています。

Q:口座が一つだとペイオフが心配なのですが

A:三菱UFJ銀行が破綻する可能性は極めて低いと考えていますが、それでもご心配な場合は、「決済性預金」という形式で口座を開設することをおすすめしています。

決済性預金なら三菱UFJ銀行が破綻しても全額保護されます。
ただし、利息がつきません

ちなみに三菱UFJ銀行の普通預金の金利は2023年11月14日時点で年0.0010%ですので、仮に1億円預入していても年間1,000円しかつきません。

Q:口座が一つだと、万が一盗難・サイバー攻撃・内部不正などが起きたときに管理組合財産が全額失うことになり、危ない気がするのですが

A:まず前提としてクラセルをご利用される場合、通帳レスタイプでの運用となります。

つまり、通帳印のみが金融機関で出金するための唯一のアイテムとなりますが、印鑑だけ盗まれたとしても口座番号などの情報は相手には分かりません

そのため不正に資金を引き出すことは困難です。また、仮に口座情報が分かってしまったとしても、三菱UFJ銀行の窓口で本人確認をされますので、印鑑を盗んだ人が出金をすることはできません。

「えっ? でもそれなら、管理組合の印鑑を預かっている人(通常は理事長)がその気になればできるじゃないか」ということになりますが、その点はその通りです。

しかし、その状況は管理会社が管理をしていたとしても同じ状況なのです。

管理会社に委託していても印鑑は理事長が保管しますので。

つまり、口座を一つにしたからといって不正リスクが広がる訳ではないのです。

逆にクラセルの場合、不正な引出しがあると翌日には「不明な出金がありました」と他の理事に通知がきますので、牽制機能が働きます。

また、外部からのサイバー攻撃については、あらゆる攻撃に対応できるよう対策を施しておりますのでご安心ください。

Q:当マンションは事務用品や備品などを購入するために小口現金口座を持ち、運用しているのですが、クラセルの場合、小口現金口座の扱いはどうなりますか?

A:小口現金口座を運用することは可能です。

具体的には、クラセル管理下の三菱UFJ銀行から小口現金口座に資金を充当する際に、「小口現金支出」といったような科目で計上してしまいます。

つまり、小口現金口座は簿外口座という扱いです。

その後、実際に小口現金を使ったあとに、消耗品費など、具体的な科目へ変更することが可能です。

また、決算時には小口現金口座の残金も決算書のなかに含めたいという場合は、決算日までに残金をクラセル管理下の三菱UFJ銀行に預入することで決算書に含めることが可能です。

Q:当マンションでは水道料金の支払いが、地方銀行の口座からの引き落とししかできず、三菱UFJ銀行からの引落に対応していないのですが、この場合どう対応したら良いですか?

A:水道料金の引落金額が判明したら、三菱UFJ銀行から地方銀行口座へ「共用部水道代」といったような科目で支払処理(資金移管)を行うことで対応可能です。

地域によっては事前に引き落とし金額が分からない場合がありますが、その場合は、おおよその金額を資金移管していただくことで対応可能です。

関連記事:クラセルの導入事例をご紹介

おわりに

本コラムに書かれていないことや、ご不明点などございましたらお気軽にお問合せくださいませ。

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