マンション建て替えに必要な費用とローンの選び方を徹底解説

「このマンションにあと何年住めるのだろう」「建て替え費用は払えるのか」

――そんな不安を抱える方は少なくありません。
建て替えは資産価値を守る有効な手段ですが、最大のハードルは費用負担です。

本記事では、建て替えにかかる費用の全体像、利用できるローン、負担を軽減する方法まで、分かりやすく解説します。

マンション建て替えにかかる費用の全体像

建て替えには、解体費・コンサルタント費・設計費・建築工事費など、複数の項目が発生します。

さらに、建物の規模や立地条件によって総額は大きく変動します。

一般的には1戸あたり2,000万円超になるケースも珍しくありません。

建て替えに必要な主な費用項目

マンションの建て替えには、複数の費用が発生します。大きく分けて「事業費」と「居住者の一時的費用」の2種類があります。

事業費は建て替え事業そのものにかかる費用で、解体・設計・建築・各種申請などの直接費に加え、調査・コンサル費用などを含みます。

居住者が個々で負担する一時的な費用は、建設期間中の仮住まいや引っ越しの費用など、建て替えに直接関係しない費用があてはまります
事業費の主な項目は次のとおりです。

名称 概要
解体費既存建物を取り壊すための費用
コンサルタント費コンサルタントや弁護士などの専門家を雇う費用
設計費新しいマンションの設計にかかる費用
建築工事費もっとも大きな割合を占める費用。建物の規模や仕様によって変動
その他諸費用登記手続き、近隣対策などにかかる費用
予備費 計画段階で想定できない不確定要素に備える費用

予備費のイメージがつかないかもしれませんが、例としては:

  • 法改正による設計変更
  • 資材価格や人件費の変動
  • 地盤補強
  • 有害物質除去

などです。

建て替えは数年単位で行うものであるため、その間法律が変わらないとも限りません。
こうした不測の事態に備えるための費用が「予備費」となります。

これらの費用は建物の規模、立地条件、設計内容によって大きく変わります

また、建て替え後に生まれる余剰住戸(保留床)を売却し、その売却益を事業費に充てることで、権利者の負担を軽減できる場合があります。

とはいえ、近年は工事費や人件費の高騰により取得できる床面積が減少し、負担額を十分に圧縮できないケースが多くなっている点に注意が必要です。

費用の相場と変動要因

建て替えにかかる費用は、建物の規模・構造・立地条件などによって大きく変動します。

例えば、建物の階数や敷地条件、設計の複雑さによって工事の難易度が変わり、その結果、全体のコストに影響します。

詳細な試算は専門家による確認が不可欠です。

マンション建て替えに利用できるローンについて

建て替え費用はまとまった資金が必要で、自己資金だけでは対応が難しい場合があります。

その際に利用できるのが、マンション建て替えに対応したローンです。

このローンの契約者は管理組合ではなく、各区分所有者となります。
やりとりは各個人が金融機関と直接行うことになるため、注意しましょう。

既存ローンは建物の担保がなくなるため、完済するか、新しい住戸を担保にした借り換えが必要です。

銀行によっては仮住まい費用や諸費用を含めて借りられる商品もありますが、条件は金融機関ごとに異なるため、早めに確認して資金計画を立てることが重要です。

マンション建て替えに伴う資金調達の仕組み

マンション建て替えに関する資金調達は、通常の住宅ローンとは異なります。
契約主体は管理組合ではなく、各区分所有者が個別に対応するのが基本です。

従前の住宅ローンは既存建物を担保にしていますが、建て替え決議後、権利変換期日に従前建物の登記が抹消されるタイミングでその担保は消失します
そのため、次のいずれかの対応が一般的です。

  • 従前のローンを完済する
  • 新しい住戸を担保にした新ローンへ借り換える

建て替え決議が可決されると、各区分所有者は取引銀行と交渉し、借り換えや新規融資の条件を決定します。また、デベロッパーが銀行と提携し、以下のようなサポートを提供する場合があります。

  • 建て替え専用ローンの設定
  • 複数所有者向けの団体交渉枠の用意

これにより、通常より有利な条件で融資を受けることができたり、審査がスムーズになることがあります。
ただし、こうしたデベロッパーのサポートは、義務ではなく、プロジェクトの規模や事業方式によって異なる点に注意が必要です。

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建て替えローンの種類と特徴

建て替えローンと一口に言っても、個人向けなどいくつかの種類に分けられます。

種類概要特徴注意点
建て替え対応のローン(個人)区分所有者が金融機関と直接契約するローン。通常の住宅ローンに近い仕組みですが、建て替えに伴う条件に対応仮住まい費用や引越し費用を含めて一括借入できる場合があり、総費用をまとめて調達可能審査は所有者ごとに行われ、収入・年齢など個人属性に応じた条件設定が必要
建替え対応のローン(デベロッパー提携型)デベロッパーが金融機関と提携し、建替え専用ローンや団体交渉枠を用意条件が有利になったり、審査がスムーズになる場合がある義務ではなく、プロジェクトの規模や事業方式によって異なる
高齢者向け特例住宅金融支援機構の「高齢者返済特例」や民間銀行の「リ・バース60」が該当。返済方法を工夫して月々の負担を抑える制度存命中は利息のみ支払い、元金は死亡後に担保物件の売却による一括返済するなど、ライフステージに応じた対応が可能相続人に債務が残る可能性があるため、家族間の合意形成が必要

※建て替えに対応したローンは一般的に「建物完成時」の金利が適用されることが多いため、数年後の完成を見据え、ゆとりを持った返済シミュレーションを立てることが重要です。 

※ローン契約は管理組合や管理会社が代行するものではなく、各区分所有者が金融機関と直接契約する必要があります。詳細条件は金融機関や住宅金融支援機構に確認してください。

建て替えローンのメリット

建て替えローンの特徴やメリットとしては:

  • 手元の現金だけで対応する必要がなく、自己資金の負担を軽減できる
  • 長期返済プランや低金利商品を選べる場合がある
  • デベロッパー提携ローンの場合、金利や審査条件が優遇される可能性がある

などがあげられます。

しかし、その一方で

  • 自主建て替えの場合
  • 金利や総額について
  • 契約の主体について

上記にあてはまる場合は、いくつか注意点も存在します。

自主建て替えの場合の審査

デベロッパーが入らない場合、事業の信用力や完遂力を確認するため、審査のハードルが高くなる傾向があります。

金利や総額の確認

ローンには「固定金利」と「変動金利」があり、選択によって返済額が変わります。

また、建て替え費用とは別に、仮住まいや引越し費用などもかかるため、総額を把握することが重要です。銀行ごとに借入条件が異なるため、複数の金融機関を比較しましょう。

契約の主体

建て替えのローン契約は、管理組合や管理会社が代行するものではありません。

通常の住宅ローン同様、各区分所有者が自分で金融機関と契約する必要があります。

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建て替え費用の負担を軽減する方法

建て替え費用はまとまった資金が必要ですが、負担を減らす方法が複数あります。

公的支援制度の活用、ローンや融資の利用をすることで、資金計画を柔軟にし、合意形成をスムーズに進められます。

補助金や助成金の活用

国や自治体が提供する補助金や助成金は、建て替え費用の一部を軽減できる場合があります。

例えば、マンション建替え円滑化法に基づく事業や、老朽化マンションの再生を促進する制度が対象になることがあります。

制度の内容や条件は地域や年度によって異なるため、最新情報を自治体や専門家に確認し、申請時期や必要書類を早めに把握しておくことが重要です。

住民間での費用分担の工夫

建て替えに伴う負担を公平にするためには、専有面積や持分割合に応じた負担ルールを事前に合意することが不可欠です。

透明性を確保することでトラブルを防ぎ、合意形成をスムーズに進められます。

さらに、仮住まい費用や追加仕様の負担方法も明確にしておくと安心です。

マンション建て替えに関するよくある質問

建て替えにかかる期間はどれくらい?

マンションの建て替え工事は、通常2〜3年程度かかります。

プロジェクト全体でみると、準備、検討、計画、実施、と段階を追って進めていくため、検討開始から完了までに8~10年以上かかる場合もあります

建て替えは準備段階、検討段階、計画段階、実施段階と順序を経て進みます。

立ち退き料はもらえる? 

「立ち退き料」という言葉は、賃貸借契約で貸主都合により退去を依頼する際に支払う費用として使われるケースがほとんどです。

一般的な賃貸借契約では、立ち退き料は貸主が借主に支払う費用であり、貸主の都合で契約期間中に退去をお願いする際、その不利益を補うために支払われます。

一方、マンションの建て替えや再生事業で使われる仕組みは、これとは異なります。

ここで支払われるのは「転出補償金」であり、次のような特徴があります。

・建て替えに参加せず、住み替え(転出)を選んだ区分所有者に支払われる対価

・根拠は従前資産の評価額で、新築住戸を取得する代わりに現在の権利を手放すことへの補償

・金額は新居取得に十分とは限らず、仮住まいや引越し費用は原則自己負担

また、建て替えに参加する場合も、法律で一律に「立ち退き料」を義務付けているわけではありません

ただし、事業計画や自治体制度によっては、仮住まい費用や引越し費用の補助が設けられるケースもあります。

実際の支援内容は事業計画・合意内容に沿って確認が必要です。

建て替え中の仮住まいはどうなる?

マンションの建て替え工事は、通常2~3年ほどかかります。

そのため、工事期間中は、一時的に仮住まい先を確保する必要があります。

家族構成、車やペットの有無によっても賃貸先の条件が変わるので、希望条件の整理や優先順位を決めておくと物件探しをスムーズに進めることができるでしょう。

仮住まいにかかる費用をトータルで考える

仮住まいにかかる費用は、家賃だけでなく、敷金・礼金などの初期費用や引越しなど複数の費用が発生します。

特に、建て替えの場合は自宅→仮住まい→新居と2回分の引越し費用が必要です。

賃貸物件を借りる際にかかる初期費用は家賃の5~6カ月分が相場です。これらを含めて、トータルの費用を事前に確認しておきましょう。

【仮住まいで必要な主な費用】

  • 家賃・管理費
  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 火災保険料
  • 保証会社利用料
  • その他費用

建て替えローンは三菱地所コミュニティがまとめて手配してくれる? 

いいえ、契約代行は行っておりません。

金融機関との契約や条件確認は、ご自身で解決していただく必要があり、ローン契約は個別対応が必要です。

まとめ

建て替えは、区分所有者の費用負担と資金調達が最大のハードルです。

資金調達は、建て替え組合ではなく各区分所有者が個別に金融機関と契約する必要があり、既存ローンの完済や借り換えが必要です。
融資条件は金融機関によって異なるため、専門家への相談をはじめ複数の選択肢を比較し、早めに資金計画を立てることが重要となります。

「総費用の把握」「ローンの条件確認」「仮住まいの準備」を早い段階で進めることで、合意形成を安定的に進展させることができるでしょう。

建て替えは重要な選択ですが、費用やローンの仕組みを正しく理解すれば、現実的な方法が見えてきます。「どの方法が最適か」を判断するためには、専門家の伴走が心強いサポートになります

三菱地所コミュニティでは、検討から実行まで中立的な立場でお手伝いします。ぜひご相談ください。

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